外交安保分野での論議点検から着手をー「国会改革」の前に(下)/5-17

国会の論戦といえば、かつては外交安保分野が注目されました。野党第一党の日本社会党の中で「安保7人衆」などと呼ばれる議員たちがいました。「日米安保条約」の対応をめぐって政府を追及する場面が大いに賑わせたのです。また、政治家のスキャンダルについて取り沙汰されるケースは少なくなく、予算委員会が擬似裁判所のような様相を示すことは常態となってきています。この際、事の是非は置くにしても、前者も後者も、野党の追及の見せ場として話題の的となってきたことは否定できません▲一方、与党の側は、閣僚の座につくものだけが、良しにつけ悪しきにつけ脚光を浴びますが、大部分の議員は華々しい議論の埒外に追いやられています。国会の仕組みでは、政府提出の法案の是非をめぐる本格的な議論は、与党内の政調の各部会で行われています。いわば裏舞台での〝丁々発止の見せ場〟は一般の人々の目には触れません。委員会論議の表舞台だけがテレビ放映に晒されるのです。衆議院予算委でのテレビ放映場面で出席している議員はただ座ってるだけ。質疑者の背後にいて画面に登場する(カメラ位置から)のは、ほぼ与党議員ばかり。その昔、テレビに映りたいがために、官僚の指定席に座った議員もいましたが、その心音の賎しさに哀れを禁じ得ませんでした▲一般に「与党質問」といえば、政府追及や批判ではなく、その政策展開を称賛、追従することが多いのはやむを得ぬことかもしれません。ただ、それをひたすら聞かされるのは地元支援者以外には耐え難いところです。尤も、「野党質問」にも、揚げ足取りや的外れの質問でうんざりすることも多く、どっちもどっちの側面があるかもしれません。その昔、私の大先輩が、「政治家は言葉で勝負するものであって、図表やグラフなど目で見せるものを使うのは邪道だ」と言われたものです。昨今はフリップ花盛りで、言葉のみを操る論客はあまり見かけないのは寂しい限りです。与党からの政府批判、追及は勿論あってよく、野党からの要望、提案も、中身があって聞かせるものは大いに歓迎です。ともあれ、聞いている有権者を唸らせる質疑が待望されます。最近の大相撲が突き押し一点張りで、四つに組む場面が見られないのと同様に、国会論戦も一方的に詰ったり、淡白そのもののお伺い・お尋ね質問が多いのは残念なことです▲閣僚が入れ替わる時に、辞める大臣の業績を査定するグラフが新聞メディアに使われます。政策力、発信力、統率力などといった観点から、それぞれの閣僚の採点をしているものですが、これを応用して、国会での質問を採点してみるのはどうでしょうか。誰がそれをやるのか。元新聞・通信社記者、元官僚らが適任かもしれません。また、元国会議員や元地方議員もいいかもしれませんし、国会内の調査室や委員部のOBも、候補たり得ます。あるいはOBばかりでなく、現役の弁護士、公認会計士や税理士、そして普通の市民でも関心のある向きはどうでしょうか。ともあれ、国会議員任せでなく、今の議論を活性化させたいと思う民間人が立ち上がって、議員たちの議論を監視することが重要だと思います。全ての委員会で、というわけにもいかないでしょうから、まずは予算委員会や外交安全保障分野などから着手してみては、と提案します。(2021-5-17)

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