「炭素」と「原発」の是非を巡る4つの選択/8-22

2020年初頭から人々を襲う新型コロナウイルスの恐怖。これ以前は、温暖化する地球をいかに救うかが人類最大の共通課題であった。気候変動のもたらす脅威は、先進資本主義国家に、温室効果ガスの排出量をどう減らすか、また無炭素社会=カーボンニュートラルの実現に向けてどう協力し合うかの道を迫ってきた。加えて、福島第一原発事故を経験した日本は、「原発」の継続如何が、恒常的な課題として、のしかかってきている。コロナ禍からの脱却という緊急事態とは別に、「脱炭素」「脱原発」といったエネルギーを巡る闘いをどう乗り切るかが、日本の中長期的課題として立ち塞がっているのだ◆この連立方程式を解くにはどうすればいいか。勝手な〝思考の遊び〟をザックリ加えてみよう。私たちの前に横たわっている選択肢は4つ。一つは、「脱炭素」「脱原発」などお構いなしに自由に振る舞う道。二つは、「脱炭素」には取り組むが、「原発」は徐々に再稼働の道を歩む。第三は、「炭素」排出は制限せず、「脱原発」は進める。第四は、「炭素」「原発」双方ともに低減を目指す。この選択は産業革命以来の世界各国の資源開発への取り組み状況によって当然ながら差がある。米欧日中露などの先進国。工業化、原発化が遅れ、全てはこれからという後進国。その両者間に位置する国々などで、歩む道は自ずと違ってくる◆とはいうものの、よほどの自制の力が働かぬ限り、掲げられた目標はどうあれ、現実には限りなく第一の道への流れは留まらない。せいぜいが〝まだら模様〟と言うのが関の山と見られる。例えば、第二次世界大戦の終焉後4年で、共産主義国家として建国された中国を見よう。苦節70年余で変身を重ね、遂に米国に次ぐ経済大国の位置を占めるに至った。後に続くアジア、アフリカの目標となる中国は、石炭火力という炭素源の輸出国家として、これから一層頼られる存在になる。やっと勝ち取ったこの優位な地位を、簡単に投げ出すとは考え難い。その中国との〝首位争奪戦〟に、米国は自国内分断騒ぎも辞さず躍起となるのは必至で、舵取り変更を期待することは難しい◆この状況下で注目されるのが、日本の対応である。現時点で、政府は、2030年度までに温室効果ガス排出量を「13年度比46%削減」するといい、「世界の脱炭素化のリーダーシップを取る」(菅首相)とまで宣言した。その意気やよし、と言いたいところだが、政府内にも、自民党内にも疑問視する向きは少なくない。と同時に、「脱炭素」の道を「原発」に頼る動きが蠢動する。カーボンニュートラル推進と脱原発の二兎を追うことは、「温暖化防止栄えて国滅ぶ」ことになりかねないとの声に支えられて。この場面は私たちにとっても、重要な分岐点である。今まで通りの生き方でいいのか。全く違う価値観のもとで生きるか、の選択だ。コロナ禍がその選択の決断を迫っている。私にはそう思われてならない。(2021-8-22)

 

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2 Responses to 「炭素」と「原発」の是非を巡る4つの選択/8-22

  1. かも

    次世代エネルギーは、既に完成された技術ととして存在しています。
    次世代のエネルギーの主力は、天然ガスです。再生可能エネルギでは不安定で使えません。
    原子力は、発電所から出る微細な浮遊核物質による内部被曝によって、発がん原因物質になるために、使うことは出来ません。
    バイオマスも最悪の環境破壊です。
    大欲光発電は、不安定であり蓄えることが出来ないために、安定電源とはなり得ず、緑地を遮蔽して太陽光を遮断してしまうことで、自然の取り分を奪ってしまいます。
    この状況で唯一、将来にわたって持続可能性のあるエネルギーは、天然ガスを燃料とする燃料電池発電だけです。
    燃料電池はエネファームとして既に完成しています。簡単な改質器を内蔵することでそのまままま燃料電池の燃料として使えます。
    現在、エネファームは、出力が0.75kwに制限されています。ガス会社ではいろ理由を付けますが、エネファームが普及すると、電力会社の売り上げが減るから、電力会社が絶対に認めないからです。
    この制限を完全に撤廃して、売り買いを完全に自由化することで、3kwのユニットを作れば、家庭用電源として完全に自立電源として運転できます。
    然も廃熱を利用するエネファームでは、電気と熱を利用できるので、総合熱効率が94%と宣伝されています。
    電力会社の旧来型の発電所では、受電端効率で、37%しかなりませんから、効率が倍以上になります。お湯が余るから効率が落ちるとガス会社では謂いますが、それでも、半分捨てても、60%以上の効率で発電と給湯が出来てしまうのです。
    炭酸ガス排出量を、半分以下に出来てしまうのです。
    更にもっと炭酸ガスを減らしたければ、この燃料電池の排ガスを、家庭用のエコキュートで圧縮して液化して、深海に投棄すれば、完全な脱炭素が実現できます。これも、既に完成している技術です。
    其れをさせないのも偏に、電力会社が、自社の利益を守るために、政府を使って、法律で、燃料電池の規模拡大を制限しているからに他なりません。
    燃料電池は、直流発電ですから、太陽光発電のパワーコンディショナーがそのまま使えます。太陽光発電パネルに並列に繋ぐだけで、メガソーラーまで可能です。
    技術的制約も全くなしに、直ちに実用化して完全脱炭素が実現できるのです。其れを妨げているのは電力会社のエゴです。政治が曲げられているのです。

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