さる14日朝のNHK総合テレビで放映された、『これからの日本政治は 新人議員に問う』は、なかなか聞き応えのある番組でした。昨今の政治家にかなり失望してきた私としても、微かな期待を持つに至りました。恐らく、新人議員なるが故の発言でしょうが、古い政治家に大いに見聞させたい爽やかな発言でした。登場していたのは知事経験者、秘書経験者、地方政治家出身者の3人。聞き手が、世論と政治に関するデータ分析する学者ら二人の女性。この人たちの切り口も真摯なものでした◆勿論、それでも気になるところはありました。議員を「先生」と何回も呼んだことや、いきなり自党宣伝めいたことを口にした議員の姿勢は、あまりいただけなかったと思います。それでも率直に自分の頭で考えたと思われる口ぶりは好感がもてました。このように言うのは、政治家の「言葉の劣化」を嘆き、憂う論調が新聞、雑誌等で散見されるからです。たとえば、情報誌『選択』11月号の「国を蝕む『甘い嘘』の氾濫』は、政治家として大いに耳が痛い内容でした◆「寄り添う」「誰ひとり取り残さない」「共感力」といった現実性、具体性のない甘い言葉を与野党政治家が乱発するようになった、としているのですが、確かにその傾向は顕著です。これは、政治家たちの責任というよりも、政党スタッフ(政調関係者、広報宣伝部局)から、ひいては世のコピー作りを職業とする人々のせいかもしれません。つまり、世の中全体の風潮と関わりあり、と思います◆そんな中で、「総選挙で抽象的な甘い言葉を振り撒」くことで、「目立っていたのは公明党」と、前述情報誌が指摘しています。「子ども基本法」「子どもコミッショナー」「グリーンイノベーション」ーなどを挙げたうえで、「具体性なく耳に心地よい言葉をAl(人工知能)で合成させたような造語の羅列」だというのです。これらは選挙用政策集で使われていました。候補者たちが頻繁に使っていたようには思えません。政治家の言葉の劣化というよりも、政党関係者の言葉の使い方の問題でしょう。有権者の関心を掴むために、より多数の人の胸に食い込む言葉を探した経験は私にもありますが、「甘い言葉を最も振り撒いた党」と言われると、穏やかではありません。恐らくは「未来応援給付」に抵抗を抱く、書き手の〝ためにする論難〟と思われますが、公明党側の反論を聞きたい気持ちが起こってきます。(2021-11-18)