新年もとっくに三ヶ日が過ぎ、七草粥から成人式を経て鏡開きも終わった。数え年で77歳の喜寿を迎える本年ー大いなる転換年と捉えて、あらゆる面で戦おうと決意を新たにしている。この初旬の日々を振り返ってみたい。年末年始は、昨年末に出版した『77年の興亡ー価値観の対立を追って』を、友人知人に郵送する作業に没頭した。年末21日22日の両日東京・信濃町、永田町界隈への手渡しを皮切りに、賀状と抱き合わせた郵送など合計700冊余りを手放した。人生でこれだけ短時間にかくも多くの人々に〝接触した〟のは選挙いらいの初体験である。その反応が、電話、メール、賀状で次々と届いている。「よくもまあ、こんな大著を」「分かりやすく面白かった」「これは凄い」などなど、皆さんとりあえず褒めてくださったが、最も嬉しかったのは、「これは参議院選に使える。友人のために買って贈呈するから」と言ってくれた人が少なからずいたことだ◆9日朝、NHK総合テレビでの1時間40分近くにわたる党首インタビューをしっかりと見た。政権与党の岸田、山口の自公両党首は共に、そつない発言が印象的だった。岸田首相は平板すぎて何も残らないように思えた。一方、山口代表は立板に水のごとき答え方で、不祥事を聞かれても「痛恨の極み。立党精神に立ち返って、再発防止に取り組む」と顔色一つ変えずに。このくだりは一呼吸置いて、ゆっくりと感情込めて話して欲しかった。これからの政治の方向性は「安定のもとでの改革を」との言い回しだったが、ここも「政治の安定は当然で、今年は更なる改革に重点を置く」ぐらい言って欲しいと思ったのは、私だけだろうか◆立憲民主の泉代表は前任者に比べて、癖がないように見えて、人柄の良さが全面に伺え、好感度は高いが、その分個性が弱く、印象に残らない。その点、維新と国民民主の両党首は極めてアピール力が強いように見えた。とりわけ維新の馬場伸幸共同代表は政治の現状が「55年体制」下に戻ったようだとの認識を披歴すると共に、文書通信交通費問題で領収書の公開を義務づけるなどの「国会改革」に力点を置くと強調した。また、敵基地攻撃能力問題では、同党独自の「領域内阻止能力」と言い換えるなど巧みな政策展開をうかがわせたし、近く「新しい国のかたち」の構想を示すと述べて、視聴者に期待を持たせた。経済政策で独自の切り口を提示する「国民」代表の玉木雄一郎氏と共に、この二党党首の意欲的な姿勢が強く脳裡に残った。公明党よ、ぼやぼやするなとの思いと共に◆10日のこと。日経新聞をみた私の友人から、メールがあった。「お前さんの本と全く同じ切り口の記事が出てるぞ」との内容だった。慌てて、同紙6面《オピニオン1》欄を開くと、原田亮介論説主幹名で「成熟国家154年目の岐路ー大目標掲げ人材の登用を」との見出しが目に飛び込んできた。「日本の国運は77年周期?」との図表も、私の本の帯の図表とほぼ同じだ。日経売りもののコラム「核心」である。「近現代史を決定づけた明治維新と昭和の敗戦の二つの節目から何を学ぶか」「バブル崩壊後、長く低迷する日本経済を立て直し、安定した成熟国家に導くには何が必要か」ーこの問題意識のもとに論旨が展開され、結論は「国も企業も、旧弊を脱して優れた人材を登用すること」に。中道主義への内外の覚醒に終始した私のものとは自ずと違う内容だが、国家目標設定の重要性の指摘と、「日本の国運の77年周期が続くとすれば、次は22世紀が目前の2099年。その時日本をどんな国にするのか、岐路に立つ22年の年始めである」との文末は、奇妙なまでに一致する。(2022-1-12)