【111】通常国会の閉幕と、気になる内外重要課題あれこれ/6-23

 通常国会が幕を閉じた。気になる課題を挙げてみる。国内的には、マイナンバーカード(マイナカード)をめぐるトラブルの多発と、健康保険証の廃止という問題である。マイナンバー法が成立して10年。マイナカードを使ったコンビニでの証明書発行サービスで、住民票などの誤交付が相次ぐ事態が明らかになった。さらに、マイナポイント事業で、別人にポイントを付与するミスがこの約1年で、90自治体で113件あった。また、公金受け取り口座をマイナカードにひも付ける際に、家族や同居人などの口座を登録するケースが約13万件もあったというような混乱が多発している。〝デジタル立国〟と言いながらも、お粗末な実態にウンザリする◆そんな時に現行の健康保険証を廃止してマイナカードに統一させようと急ぐのは、時期尚早だとの意見が強い。首相は「マイナンバー情報総点検本部」をデジタル庁に設置して、総点検を指示したようだが、この国の弱点を改めてさらけ出したようで、いかにも侘しい。立憲民主党などはかつての年金騒動の時のように、此処を先途と攻めたててこよう。腰を落ち着け、じっくりと対応するしかない◆一方、自公政権の「防衛装備移転3原則」とその運用指針の見直しを議論してきたワーキングチーム(WT)が国会最終日に開かれた。議論の結果、結論は秋以降に持ち越されることになった。「装備移転」とはまやかし表現。要するに「武器輸出」のこと。ウクライナ戦争の継続の中で、従来通りに、殺傷能力のあるものは排除すべきとのスタンスの公明党と、救難、輸送、警戒、監視、掃海といった「5類型」に限定することは廃止して、案件ごとに判断し、緩和すべきだとの立場の自民党とが、ぶつかっている。政権与党内部で意見の食い違いが大きいテーマの一つがこれだが、〝行き詰まったら先延ばし〟の定石通りになった◆公明党が歯止め役に徹しなければ、この種の問題はどんどん進む。つまり、戦争加担の流れが加速する。平和構築のために必要なことに限定すればいいのに、軍備拡大に貢献する道をも歩みたいとするのが自民党政治である。これを阻止するのは、まさに、平和の党・公明党の生命線とも言うべきものに違いない。いくら議論しても埒が開かない、だから、国会が閉じたら議論もお休みにしようという風になりがち。ここは、こう着状態を打開するためにどうするかの議論も抱き合わせてやるべきだろう◆安全保障分野だけでなく、同時に外交分野で平和攻勢をどう進めるかの議論をすればいい。先日もNHK テレビ番組の『ヒューマンエイジ「人間の時代」』で「戦争」と「平和」をめぐるイメージについて興味深い指摘がなされていた。「戦争」を思わせる実例は現実に数多満ちているが、「平和」を連想させるイメージは極めて少ないとの指摘であった。「平和」という言葉だけはあっても、その実態に定まった観念は確かにない。例えば、自公の外交安保を専門とする議員が国会閉会中に、「平和」に限定して、皆が持つイメージを徹底的に討論すればいい。議論が進まないか。それとも?それなりに実りあるものになるかもしれない。(6-23)

Leave a Comment

Filed under 未分類

Comments are closed.