【112】映画『難病飛行』試写会での爽やかな感動/7-5

 映画の試写会に行くのは実に久しぶりのことだった。兵庫県三田市の会場には100人を超える観客でほぼ一杯。神戸市北区の蔭山照夫さん(83)から、息子の武史が書いた(センサーとパソコンによる)自叙伝『難病飛行』をもとにした映画(八十川勝監督)ができたので、観に来て欲しいと言われたのは今年の初め頃。さる6月24日に三田市に住む友人と共に観に行ったが、心から感動する映画であった◆武史さん(2021年45歳で死亡)は、小学校低学年頃から、転倒しやすいという身体の異常を感じていたが、やがて筋ジストロフィーによるものと判明する。小学校卒業と同時に養護学校へと進む。そこでの級友たちとの心の交遊が描かれていく。ゆったりとした時間の流れの中で、優しく力強い家族の介護や淡い恋ごころの芽生えが胸を打つ◆彼の周りにはご両親と姉さんの素晴らしい家族3人を始め、多くのサポーターがいた。映画の中で、全身の筋肉が萎縮し、やがて死に至るというこの病の実態を本人が知るくだりで、母親が「どこまでもずっと母さんが付いているからね」と口ずさむシーンには、胸揺さぶられ、涙させずにおかなかった。また静かで単調になりがちな展開に、折り込まれたバンドコンビ「ちめいど」(兄弟のサポーター)の音楽がとても印象的で、暑い日の午後窓際でさえずる小鳥のように爽やかだった。◆私が蔭山さん一家を知ったのは、地元公明党市議から難病と戦うご家族を支援して欲しいとの声を聞いたことがきっかけ。家族の皆さんで立ち上げたNPO 法人「もみの木」のメンバーと、厚労省への要望に幾度か同席もしたことがある。母親も本人も映画の完成を待たずに亡くなったのは無念だが、クラウドファンディングの力で集まったお金をもとに出来上がった映画によって、さらに多くの人の心に生き続けるに違いない。いい映画はいいなあ──当たり前の言葉が自然に口をつく。(2023-7-5)

Leave a Comment

Filed under 未分類

Comments are closed.