【118】どこと組み何をするのか━━国民民主党の党首選挙と路線選択/8-25

 国民民主党の党首選挙が9月2日投票に向けて今、真っ盛りだ。先日民放テレビで放映された1時間半ほどの玉木雄一郎代表と前原誠司代表代行との対論はなかなか見応えがあり、聞きがいがあった。その中身たるや、自民党を中心とする連立政権との距離感をめぐる路線論争の展開といえる。新進党との合流騒ぎの30年前、自公連立に踏み切った20年前、再び与党に返り咲いた10年前━━過去の10年刻みの歴史にまつわる個人的感慨を、まるで医者から古い血液検査表を見せられたかのように、呼び覚まされた◆日本のこの30年間の国際社会における国力の凋落ぶり。この主因は結局、自民党政治にありとし、それに代わりうる新たなる「非自民、非共産」の連立政権の枠組みを作り、政権交代を目指すしかないとの前原氏のスタンスは明解である。「(維新、立憲の中核メンバーと共に)これからの日本をどうするのかをめぐってこの3年ほど議論してきている」(趣旨)との前原発言は、我が耳朶に残る◆大胆に要約すれば、自公連立に国民民主党が新たに加わる「自公国」連立を目指すのか、それに対抗して「立維国」連立の流れをを起こそうとの選択だと思われた。この対立を衆参合わせて26人ほどの勢力しかない野党第3党における〝コップの中の嵐的対立〟と見ることは容易だ。だが、沈みゆく日本の立ち位置を何としても変えたいとの2人の気概は疎かにされてはならない◆顔を紅潮させ、激しく挑みあう2人の姿をテレビ画面で見ていて、危うさと羨ましさが交錯する感情を抑えがたかった。代表選挙後に何が起こるのか。果たしてノーサイドとなるのかどうか。人間存在を可能ならしめる社会基盤を根源から揺さぶるAIの台頭や気候変動。戦後78年は、新たなる戦前とならないのか。明治維新から77年をへた国家滅亡(昭和の敗戦)の時から〝77年プラス1〟が経ったいま、大事なことは、この国をどの方向に持っていくかの大論争ではないのか。(2023-8-25)

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