年号「令和」の名付け親といえば、国文学者の中西進先生。私が国会議員を勇退した(2013年)少しのちに、知己を得ました。一般社団法人「瀬戸内海島めぐり協会」の専務理事の立場を頂いた時に、代表に就任されたのが同先生だったのです。活動の拠点だった淡路市内を始め、先生が名誉館長を務めておられた京都の右京区中央図書館などで幾たびかお会いしました。公明党の政治選択をめぐって激論を交わしたり、同図書館での月に一度の名作映画の「解説」に聞き惚れたりしたものです◆コロナ禍の影響もあって、お会いする機会は殆どなくなってしまいましたが、総合雑誌『潮』の巻頭を飾る、毎月のずいひつ「波音」での健筆を拝読してきました。一番最初に寄稿されたものへの感想を届けました。大層喜んで頂いたことは懐かしい思い出です。「こころを聴く」と銘打たれたそのエッセイもこの11月号で95回目。やがて執筆満8年になる寸前に、何とこのたび出版したばかりの拙著を取り上げていただいたのです◆『新たなる「77年の興亡」』は、昨年始めに出版した『77年の興亡』の続編とでもいうべきもので、この一年の間に大手新聞社のサイト版に寄稿した文章をまとめたA4版の小冊子です。何人かの親しい方々に送ったのですが、同先生から9月初めにおはがきをいただきました。お礼の言葉と共に、「ご提言が広がるといいと思います。『潮』11月号にふれました」と、添書きがありました。いらい同誌を手にするまで、まさに一日千秋のように待っていたのです◆私の著作では明治維新から77年後の昭和の敗戦、そして77年後のコロナ禍、ウクライナ戦争に喘ぐ日本という2度の惨状を踏まえた上で、次の2099年までの第3期の77年への「提言」をちょっぴり書きました。とはいえ、その内実は現実的な「政治」に限定したもので、本格的なことは棚上げしたというほかありません。サブタイトルに「連立政権のジレンマ解消へ国民的大論争を起こそう」と、いわば下駄を世論に預けたのですが、中西先生が真っ先に、口火を切っていただいた格好になりました。まさに持論を世に問うた甲斐があったというものです。〝物書き冥利〟に尽きる喜びをひとしきり味わっているしだいです。(2023-10-16)