●次期戦闘機の第三国移転問題での自公間の不一致
さる2月5日の衆議院予算委員会で、自民党の中堅議員が日本が国際共同開発をする次期戦闘機の第三国移転をめぐって公明党の頑な反対姿勢を取り上げた。国際情勢が昔と今とは違うのだから、自民党と合意を得られるように、岸田首相から公明党にはたらきかけをするように求めたのである。珍しいケースだった。首相は武器の第三国移転は重要だと述べ、政府の丁寧な説明を期待するに留めた。この後、13日の自公党首会談で、政務調査会長レベルでの議論が行われることになり、報道ベースでは2月中の合意を目指しているかのごとく伝えられている。公明党からは「2月末の合意ありき」ではなく、中身を巡って徹底協議をすべきとの意見もある。こうした態度に対し、自民党内には、公明党を連立から排除しようとの声もあるやに聞く。
ことの背景にあるのはそれだけではない。一昨年末の安保関連3文書をまとめるに際して、公明党の態度がガンだったとする麻生太郎元首相の非難発言(2023-9)のように、時折り衝突音が聞こえてくる。保守政党と中道に立脚する政党の連立政権ゆえ、あれこれと不都合なことはあろう。問題が明らかになるごとに、徹底した議論があって当然である。議論を蔑ろにして、いい加減な妥協を重ねるだけでは、「連立」の名が泣く。
●国際機関を強化し、世論背景に「平和構築」へ
先に挙げた寺島実郎氏の雑誌『世界』の論考(『21世紀・未来圏の日本再生の構想』)の結論部分で、沖縄に国連機関の誘致を提案していることが注目される。これこそ公明党の国連政策の柱と位置付けられてきたテーマである。「軍縮と非核平和の推進」や「地球環境問題の取り組み」などを主眼とするアジア太平洋本部を沖縄に設立することは、長きにわたる日本の夢であり、願望である。実は、私も衆議院憲法調査会小委員会(2002-5-9)の場で、参考人として招かれた同氏に質問し、その必要性をめぐって意見の一致を確認し合えたことを思い起こす。
ウクライナ、パレスチナを舞台にした「二つの戦争」に対して、国際社会は分断を強めるばかりで、解決の道を見出し得ていない。元国際司法裁判所所長の小和田恒氏は毎日新聞のインタビュー(2-21付け)で、「国際法が順守される世界をつくるにはどうすればいいか」と平和構築への解決方法を問われて、国連総会の決議や、それを受けた事務総長の役割の大事さを強調する一方、「市民運動に端を発して国際世論を背景に物事を動かしていくのは、大国と小国という力の差を超えることのできる重要なアプローチです」と述べている。「平和の道」の専門家のこの発言をどう捉えるか。幾たびも読み返した。
なんだ結局はそんなことしかないのか、と失望するのではなく、そんなことから出発するしかない、との現状を踏まえての一歩を踏み出すことだろう。かつて野党時代の公明党は熱心に国連を始めとする国際機関の強化を今よりももっと強く訴え動いていた。結党60年。この分野でも改めて公明党は初心に、原点に立ち返る必要があることを痛感する。(2024-2-23 この項終わる)