【146】お決まりのパターンでは危うい━━公明党結党60年と原点(外交編)❹/2-21

 今まで述べてきたことを総括すると、米国の戦争主導に、同盟国としてどう対応するかとの問題に収斂する。例えば、ウクライナ戦争に際してNATO傘下の各国と日本の対応は自ずと違ってくる。直接的に殺傷能力を持った武器を供与しないとの基本線を守る日本の姿勢は極めて重要である。また、パレスチナ・ガザでの争いに、イスラエルとの特殊な関係を持つ米国やドイツとは、日本は一線を画すことがあって当然だろう。中東地域にあって、どこの国とも一定の距離感を持って付き合える、数少ない国家が日本だと言えることは大きい◆ここでも、公明党の外交路線の基本が生きてくる。「地球民族主義」という大きな観点に依拠する「等距離中立外交」の旗印を今こそ堂々と掲げる必要があろう。草創の頃によく口にし耳に聞いたスローガンが、与党化という歴史の流れの中で、なぜか持ち出すのに躊躇する傾向があるかに思われるのは訝しい◆野党時代の公明党は、対中関係にあって独自のスタンスで「友好の道」を進んだ。党創立者池田大作先生の「日中間に黄金の橋を架けよう」との呼びかけに呼応したものである。その路線が、例えば「江沢民の13年」と称された中国の対日強硬路線や、今の習近平主席の「一帯一路」路線への変化の前に、いたずらに揺らぐことがあってはならない◆どの国にも言うべきは言い、指弾すべき時は指弾する、また協調すべきは協調するという柔軟で積極果敢な対外姿勢を持ち続けることこそ、信頼を得る選択肢だと言えよう。西側諸国で例をあげれば、伝統的にフランスが時おり見せる対米、対中姿勢のあり様がその参考例になるかもしれない。米国の主導のもと、いつも決まりきったパターンで外交を展開するのは、国を導く上で危ういというほかないのである。(2024-2-21 続く)

 

 

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