富士吉田での「せんいサミット」に参加して

いにしえの昔から繊維の町として知られてきた地域がいずこも疲弊しきっています。それをなんとか打開しようとの試みが12日に、山梨県の富士吉田市ふじさんホールで開かれました。その名も「富士吉田せんいサミット」。私も参加してきました。そんな会合になんでお前が行ったのかと訝られそうですね。理由は三つほどあります。一つは、この催しを仕掛けたコンサルタント会社のアドバイザーという立場を今年から頂いているからです。要するに仕事の一環です。二つ目は、私は現役時代、繊維産業振興のための議員連盟の中心者のひとりだったのです。つまり関心がかねてあったということです。三つめは、富士山を間近に眺めてみたいという観光地への興味です▼この日のメインは、パネルディスカッション「日本の繊維産業のグローバル化にむけて」でした。日本の繊維産業を盛り上げていくための第一歩として国内繊維メーカーの優れた技術を再確認すると共に、今後のブランド化やグローバル展開の可能性についてパネリストと議論しようというもの。舞台の幕が開くと同時に驚いたのは、パネリストの多彩さです。スウェーデンから女性デザイナー3人。アフリカ系フランス人の男性一人。それぞれにスウェーデン語、フランス語通訳がつくという豪華さ。他方、日本人パネラーもパリを中心に活躍する若手デザイナー・中里唯馬さんをはじめ、国内繊維産地を代表して、富士吉田市、栃木・足利市、山形・米沢市、石川・小松地域、岩手・久慈地域から10人もの参加者が壇上に。二段に分かれてテーブルやいすが設えられていたのには目を奪われました▼この会で改めて認識したのは、日本の素材と技術力への評価の高さです。外国人デザイナーも日本の産地業者や自治体関係者も一様に語っていました。今後の展開で最も期待されるのはネットワーク化でしょう。それぞれが個別で戦うよりも横の連携を強め、お互いに繋がっていくことの大事さが強調されました。兵庫県は西脇市を中心にして播州織が有名ですが、御多分にもれず苦戦しています。ここもぜひ繋がって連携プレーをするべきだと思った次第です。この日は東日本の産地ばかりでしたが、次は西日本でも結集していきたいものです▼かつての大量生産・大量消費の時代にひと区切りがついて、個性化・差別化が進むと見られていましたが、ユニクロに代表される低価格、着易さの一大流行で結局は逆戻りの傾向が否めません。しかし、片方で高品質のブランド化も求められています。メイドイン日本で少々高くても良いものはどんどん売れるということは必ずあるものと確信します。終了後に開かれた情報交換会で、多摩美大の学生さんや地元高校生たちと会話を交わしました。漫画を入れ込んだり、デザイン性溢れる名刺を見ながら、若い世代に大いに期待したいとしきりに思いました。開会前の束の間に、新倉山浅間公園に行きました。有名な「忠霊塔」越しの富士山を観ようとしましたが、生憎の曇り空で見ることは叶いませんでした。しかし、この塔は中世や近世に作られた歴史的建造物ではなく、戦後に作られたものと知り驚きました。姫路城に平成の城下町を作ろうと提唱してきた私にとって、今からでも遅くないと意を強くしたのです。ともあれ繊維産業でも観光でも様々な意味で知恵を出し合うことの大事さを学びました。(2016・3・15)

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