【204】新聞、テレビそして政治の劣化をどう見る━━現役OB匿名記者鼎談/2-22

 私が現役だった当時に付き合った新聞記者たち(現在、50歳代後半〜60歳代)は今どうしてるのでしょうか。分社の社長に上り詰めたり、系列テレビ会社の社長になったり、いわゆる「出世」した連中が少なくないのですが、偶々先日3人がそれぞれの地から姫路に集まりました。話題は昔日の思い出話から、昨今のメディアの苦境に至るまで広く飛び交いました。ここではそのうち、フジテレビの日枝さん、読売新聞のナベツネさん、兵庫県の斎藤知事をめぐってのやりとりを匿名で紹介します。架空ではなくホンモノの鼎談を取捨選択、一部加工したものです。(ABは大手新聞社、CDはテレビ会社、EFは地方紙に勤務。 敬称略)

⚫︎ナベツネさんと日枝さんの似て非なるところ

AB)中居の問題が発端になったフジテレビの一連の不始末を追ってると、本当に情けなくなるね。根底には女性アナへの「人権無視」があると思うけど。接待に女性アナを使うのって、どこのテレビ局にもあるのでは?CD)いや、それはないよ。少なくともうちの社は断じてやってない。他社もそうだよ。フジだけの文化だ。尤も、政治家との懇談の場に女性記者が出ることは最近多いから気をつけないと、妙な問題に発展しかねない。AB)それって別の次元の話だよ。記者は取材という仕事で政治家に会う。アナウンサーの仕事に関係のないことに駆り出されるって変だよ。フジテレビのアナウンサー採用は上層部の好みが反映してるって噂があった。EF)読売の渡辺とフジの日枝は2人とも長期にわたって君臨してる面で同じだけど、両社の体質って似てる?
CD)外から見てる限りはワンマン体制という意味では同じだけど、読売の連中に言わせると、渡辺は人材育成を考える点で私物化してきてはいない、No.2を常に潰すようなことはしてこなかったっていうよね。

AB)将来の人材は必ずと言っていいくらい社長秘書室に配置して直接薫陶してたけど。あれだけ長くトップを続けると弊害は出てくるはず。尤も社長が次々と変わるって会社だから別に良いってこともないけどね(笑)。EF)ともあれ、長時間にわたる記者会見でフジテレビ幹部は吊し上げとも言える場面に直面した。それを日枝はどう見てたのか?みんなだらしない、俺ならこうするのにと思ったかどうか。彼のナマの声が聞きたいね。

⚫︎情実に振り回されて真実を見失ってはいけない

CD)ところで、新聞もテレビも今SNS、とりわけユーチューブに引っ掻き回されている現状がある。我々の若いときと全く違って報道の有り様が根本的に変わってきた。去年の都知事選、兵庫県知事選がいい例だけど。EF)県知事選その後は、混乱の極致だね。斎藤の「パワハラ」から、県職員幹部の死に端を発し、百条委での知事追及の先陣切ってた県議が斎藤再選と同時に辞職。その後自殺した。選挙は、斎藤知事擁護に徹したNHK党の特異な行動。そして知事の「選挙違反」疑惑。さらには維新の県議2人の新たな不祥事が明るみに出た。AB)これは複雑怪奇な事件といえるけど、まずは問題を整理しないと。斎藤知事の「らしからぬ人間性」、リーダー不在の県議会、トラブルメーカーのNHK党、この3つがポイントだ。選挙の前と後でがらり変わった。

CD)選挙前は、知事主犯説で議会もメディアも一致していた感が強い。ところが選挙になって立花らNHK党の参入で一変した。立花は知事はむしろ被害者で、T県議らが仕組んだ謀略だとSNSを使って騒ぎ立てたんだ。EF)確かに、僕もあの動画を見て、T県議らの仕掛け説にハマったよ。だけど、同県議が死を選んでから、ちょっと見方が変わった。自分にやましいことがなければ断固戦うべきなのに、どうして沈黙したのだろうかと。AB)うーん。激しい非難攻撃を受けるとねぇ。第三者があれこれ言っても隔靴掻痒の感は免れないね。でも、生きてて欲しかったね。日本人の文化として、死者に鞭打つことは悪だからね。彼の死後、風景は一変した。EF)あの立花でさえ、前言をひるがえさないまでも、トーンを変えた。形勢逆転して逆に立花謀略説が主流になったのには驚いた。新聞各紙もT県議を悼む記事を発信し、SNSによる世論形成の非を問う声が強まった。CD)選挙で知事再選という大逆転で知事の高揚は自然だけど、選挙違反の件が表沙汰になって、知事が再び能面になった。知事の他人ごとのような発言を聞いてると、この人の人間として感性を疑ってしまうよね〜。

⚫︎大手メディアの役割いまこそ

AB)実は、泉前明石市長も常軌を逸した面を持ってると思った。彼は自分が感情をコントロールできない病持ちであることを認めていた。彼をよく知るある学者が障がい者が市長をやっていけないか、と庇っていた。EF)知事の場合はそういう話は聞かないね。それにしても、県議たちはどうしているんだろう。知事を選挙前には追い込んだけど、どんでん返しをくらって慎重になったんだろうか。今は「選挙違反」の推移待ちかな。CD)選挙前までは自民党県議団の中にまとめ役がいないとか。国会議員団があれこれ口を出すだけで、いい加減さが目立つとか批判の声があった。先程話題にしたメディアの2トップのようなドンがいないのは確かだ。AB)こういう議会や議員の体たらくや、かなり異色の自治体の長を前にして、既成のメディアが右往左往して、SNS を操る特殊な存在に振り回されるっていう現状は打破しないといけないよ。人の生死を超えたところで、つまり、情実にも振り回されないで、事実を掘り起こしつつ、真実を突きとめていきたいものだね。(2025-2-22)

 

 

 

 

 

 

 

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