先の衆院選で自民党が未曾有の議席増を果たす一方、新党「中道」は大惨敗を喫した。明年の統一地方選挙で公明党は「中道」と合流するのか、更に2028年の参議院選挙はどうするのかの問題や、日本のこれからにとって大事な憲法をめぐる問題および米国とイスラエルのイラン空爆など大いに気になるところだ。これら緊急課題について、以下私の考えを述べたい。
①公明党と新党「中道」のこれからについて
明年の統一地方選まで4月でちょうどあと一年となる。公明党は現状のままの党名でいき、「中道」には合流しない方向のようである。ただ、中道の大きな塊を作っていきたいとの方向性に変わりはなく、先の臨時公明党大会でも改めて確認されていた。それからすると、明年以降も公明の看板をかけ続けるというのはいささか違和感がないわけではない。
実は従来からの地方議会、特に市町村議会では政党を名乗らず無所属でいくケースも多い。かつては保守系無所属とか革新系無所属などといった呼称が用いられることもあった。それからすると、中道系無所属という呼び名でもいいのではないかという気もする。新党結成という大きな決断をした背景については、メディアでもしだいに明かされつつあるが、高市早苗首相の新年早々の国会召集冒頭解散の奇襲に、奇策で対応したとの見方が強い。衆院における中道の活躍、参院における公明党、立憲民主党の動向が気になるところだが、早急に相互理解を深め、日本をどうするかのビジョンを共有して欲しいものだ。
②憲法について
現行の日本国憲法は戦後米国の占領下の1946年11月3日に誕生(公布)した。以来80年間一度も改正されることなく施行されてきた。様々な課題のうち国家の安全を担う行使力の主体である「自衛隊」の位置付けさえ規定されていない。自民党は結党後70年、「改憲」を党是にしてきた。一方、かつての社共両党や立憲民主党など「リベラル」勢力は「護憲」の立場。この二項対立の中で議論は平行線だった。この状況を打開するために、「護憲」から「加憲」に立場を変えた公明党は、環境権など新たな規定の盛り込みを提案したものである。
2012年に自民党が作った憲法草案は、①自衛隊の「9条明記」②緊急事態対応③参議院の合区解消④教育の環境強化の4項目を優先課題としてきた。だが、この10年近く憲法審査会での論議でも合意には至っていない。先の衆院選の結果、自民党単独で3分の2の議席を確保したことから「改憲」の機が高まったかのように見る向きがあるが、参議院は依然少数与党であり、変化は起こりそうにない。
実は「自衛隊明記」については、公明党は太田昭宏代表当時に問題提起したが、自民が前向きになると逆に撤回してしまうなど、「加憲」よりも「護憲」に戻った感が強い。新党「中道」が新たな塊を作れるかどうか。まずは、参議院の公明、立民と中道三党間での徹した憲法論議がカギを握るものと思われる。
③米国のイラン空爆、ロシアのウクライナ戦争など国際法無視の流れをどう捉えるか。
米国は第二次大戦後の80年、政権の如何を問わず性懲りも無く他国の内政に関与してきた。世界の警察官というと聞こえはいいが、自立した国家主権を時に潰しにかかる。かつてのベトナムへの介入は「赤化ドミノ」、イラクは「大量破壊兵器」が口実だった。今イランには「核使用阻止」のための先制攻撃である。これらが国際法違反であることは論を待たない。しかし今や「力の平和」が大国の通常の論理になり、国際法無視が常態になっている。
一方、ロシアのウクライナ戦争はもう4年を超えた。この国も米国と同様というより開びゃく以来、「侵略」を変わらざる性とする。共産中国も本質は大同小異で、特に隣国は油断も隙も見せられない。つまり、米中露の「専制3大国」は、第二次世界大戦後80年の戦間期に、建前では国際社会の和平への協調姿勢を見せながらも、本音では国益優先を隠さないできた。しかし、今や建前と本音のマダラ模様は一変したと見ざるをえない。
放置すると「世界大戦三たび」が現実のものになってしまう。国連を無力と諦めるのではなく、三大国以外とりわけEU、日印などの中堅国家群の連携が大事で、外交力の見せどころだ。日本は中東において日米同盟下にありながらイランとの関係に注力してきた歴史を持つ。イラク戦争で犯した「情報詐欺の愚」を今再び繰り返すのではなく、自前の「人間外交」を縦横無尽に展開する時である。
その点で希望を持つべきなのは、各国の市民レベルの連帯力ではないか。かつて米国には権力を諌めるジャーナリズムの力が横溢していた。ロシアにも中国にも伝統的な文学、芸術に基盤を持つ壮大な文化力がある。こうした市民、一般知識人層の連帯力を結集するチャンスではないか。国境を越えた権力の横暴に対抗しうるのは、民衆レベルの共同戦線しかない。ここは新党「中道」、公明党の出番であると考えるのだがどうだろうか。(2026-3-25)