沼島に行き、太古の昔に思いを馳せる

淡路島の南に寄りそうように位置する島・沼島(ぬしま)。この島には国生み伝説があり、知る人ぞ知る有名な島ですが、兵庫県に生まれ育ちながらも今まで行く機会はありませんでした。このたび私が取り組む瀬戸内海観光振興の一環として、南あわじ市を視察する機会があったので、ついでに足を伸ばしました。南あわじ市の道の駅あわじ・松帆アンカレイジパークから30分ほどで土生(はぶ)港に。そこから船で10分乗ると、沼島の玄関口の港に到着します。島内を一周しても約4時間、周遊道路は8キロといいます。それでもかつては人口が3500人もいたといわれますが、現在は500人足らず。まことにかわいい島です▼まずは、この島の別名・おのころ島発祥の神社・おのころ神社に向かいました。ここには国生み神話で有名ないざなぎ・いざなみの二神が祀られているということになっています。100段ほどの階段を登ると目的の場所に着きますが、その周辺はあまりきちっとは整備されておらず、これでは観光客も足を運ばないだろうという感がしました。かろうじて二神の銅像が目を引きますが、もっと手を入れる必要があろうかと思われます。むしろ、私が強く関心を持ったのは、そこから島を横切って30分ほど東南部へ歩いたところの海岸にある上立神岩です。高さが30mほどもあり、国生み神話にある天の沼矛のモデルとも,天の御柱のモデルともいわれています。やりの穂先のような形状はなかなかのもので、竜宮の表門だとも称されています。北海道の積丹半島の先端部で見る奇岩とよく似た面影だといえましょうか。また、少し離れたところにある岩はあたかもエジプトのスフィンクスが波打ち際に座っているかのような印象を受けました。ともあれ二つとも一見の価値ある豪快な岩です▼この上立神岩に行く途上に沼島小学校があります。たまたまそこを通りかかったら、かわいい女の子が二人一緒に門を出てきました。話しかけると小学校一年生とのこと。全校生徒が10数人で、うち一年生が3人といいます。大変な過疎の中の学校ですが、この一年生はなかなかしっかりした見事な受け応えで、頼もしい限りでした。この娘たちがどう育っていくのか、強い関心と興味を持って見守りたいとの気持ちにさせられました▼この島には、ほかにも下立神岩、平バエ(竜宮の屋根に例えられる神聖な岩)や穴口(古事記にある黄泉への入口のモデルともいわれる)、鞘型褶曲(一億年前の地球のしわとされる)など様々な伝説を持つ奇岩が多いのです。兵庫県北部の但馬地域のジオパークでもめったに見られない奇岩が多くありますが、この沼島でも島の沿岸地域にこうしたものが多くあるということは実に貴重です。島周辺の海域では様々な魚が獲れるとあって、釣り客の人気もただならざるものがあります。もっとよく知ってこの地を大いに宣揚したいものだと心から思ったしだいです。(2015・3・20)

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