世界文化遺産・白鷺城修復完成の式典で考えたこと

日本で最初の世界文化遺産指定の栄誉を受けたのが国宝・姫路城。5年間に及ぶ大天守閣の保存修理工事がようやく終わり、27日からいよいよ一般に公開されることになりました。その前日に三の丸広場で記念式典が行われたのですが、なんといっても圧巻は航空自衛隊のブルーインパルスの祝賀飛行でした。実は前日の25日の10時過ぎ、予行演習に飛来してきており、私は自宅ベランダから合計約一時間ほどの時間、迫力満点の飛行ぶりを楽しんでいました。当日はわずか10分だけ。いささか物足りなかったのは否めませんでしたが、やはり本番の迫力にはそれなりに凄いものがありました。二日間にわたる航空ショーを見させていただき大いなる感動を抱いたしだいです▼この日おもしろかったのは、航空ショーの合間にカラスが5羽ほど飛んできて空中を舞ったこと。あたかもブルーインパルスの向こうを張るかのように。すかさず冒頭の挨拶に立った主催者の石見利勝市長が、「姫路のブラックインパルスが登場しました」と述べたのには心和むものがありました。どこまでも澄み切った青い空に冴えわたる純白の姫路城。別名・白鷺城と呼ばれるほどの白さを誇る城が修理を終えて一段と白さが増したことは感動の極みでした。ブルーインパルスの吐き出す白い排煙が、五線譜や花びらやハートじるしを大空に描き切る様子は見ごたえ十分でした▼姫路城は築城いらい一度も戦火を交えたことがありません。400年余りの間、戦いを経験したことがないのです。昭和20年の7月に米軍のB29による大空襲を姫路市は受けましたが、その時もお城は直撃は免れたのです。奇跡的ともいえることでした。それゆえこのお城は平和の象徴だともいわれるのです。この日の式典で、井戸敏三兵庫県知事やローデリック・ウォルス在大阪・神戸オランダ総領事がその辺りのことを強調していました。あまり全国的には知られていないのですが、姫路には先の大戦で無差別爆撃を受けて亡くなった人たちの御霊を祀る慰霊塔があります。毎年8月に全国の戦没者たちの遺族関係者が集まって行われる慰霊祭がありますが、大事な催しだと思います。不戦の象徴・姫路城のある姫路市こそ、戦没者の慰霊を祀るに相応しい街ではないでしょうか▼かつて衆議院予算委員会で,私はこのことに触れて、その存在はもっと注目されるべきだし、首相や政府を代表する人間こそ式典に参加すべきだと訴えました。その結果、時の官房長官であった福田康夫氏(のちの首相)が私の主催する会合に参加してくれる機会を利用して、つかの間でしたが立ち寄ってくれました。この姫路の戦没者慰霊塔を、無宗教の慰霊施設として靖国神社の代替施設としてはどうかとの考えが私にはあったのです。それを検討してほしいと福田氏に要請したのですが、彼は結果として、位置的に中央から離れすぎているとして賛同してはくれませんでした。ともあれ式典での挨拶を聴きながら様々な過去の出来事を思い起こしたものです。(2015・3・26)

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