【52】めでたくもあり、せつなくもあり━━晩秋の傘寿を東京で(上)/11-29

 とうとう僕も80歳になった。傘寿は「おめでたい」というべきか、それとも「せつない」とみるべきか。偶々この記念すべき日・11月26日に、東京で公明党関連の行事が行われることになった。これを機に26日をゴールに、24日から2泊3日の予定を組み立て、上京した。3箇所での集いを設定し、自ら呼びかけもした。一方、懐かしい人7人に個別に会いたいと声をかけた。目いっぱい動き回って、充実した対面懇談をしてきた。しめて37831歩。距離にして26481㍍。朝は8時から夜は10時まで。よく喋ってよく歩いた。ちょっぴり疲れた。以下はその顛末。上下2回に分けて報告したい。

 ⚫︎始まりは、田町・慶応仲通りの中華店から━━第一日目

 JR田町駅から慶應義塾のある三田山上(山というより丘だが、なぜかそう呼ぶのです)までは、僅か10分ぐらい。そこに至るにも近道があって「慶応仲通り」と呼ばれる。飲食店を中心にした商店街で出来た狭い脇道である。ここを昭和42年4月から44年3月までの2年間、僕らは人それぞれ曲がりながらもせっせと通った。

 24日正午に中華飯店に集まったのは9人。クラス会も往時は30人ほどは集まったが、近年は少なくなる一方で、ついに一桁台になった。やってくる面子はやはり逞しい。ギターを抱えて『ベサメムーチョ』を唄うT君はアイ・ジョージを彷彿とさせたし、歌舞伎「弁天小僧菊之助」の浜松屋出店の一幕の口上を滔々と誦じ続けたO君(写真中央)など、見た目はともかく頭脳年齢は働き盛り。若さが漲る。他にも「古文書研究」に精を出すA君は、老後の嗜みを遥かに超えたプロ級の腕前とか。好奇心は果てしない。

 僕は「近況報告」の際に、今年出版した『ふれあう読書━━私の縁した百人一冊』下巻の話をした。福澤諭吉が文明開化の手ほどきの書として著した『学問のすすめ』に触れて、この書物が実は『交際のすすめ』でもあるとの自論を強調した。福澤は「言語容貌も人の心身の働なれば、これを放却して上達するの理あるべからず」と、顔色、容貌、そして言葉が「人間交際」にとって最も大事なことだと、巻末で訴えている。交流のあり様を百人に分けて論じた僕の企みとの一致。諭吉先生との不思議な一体化。我が80歳の年に、「人生の卒論」を塾の創始者に認めて貰った気がした。『学問のすすめ』をそう「改読」したのである。

⚫︎海外駐在の若手銀行マンとの懇談

 午後3時からは、帝国ホテルに移り、畏敬する後輩H君と会った。彼は若き日より僕を慕ってくれた得難い男だが、苦節の日々を乗り越えて、企業人として相応の成功を収めていることは嬉しい限りだ。彼は愛息を同伴してきてくれた。30年近く前に彼の自宅で会っていた。幼な子は凛々しい若武者へと成長を遂げていた。銀行マンとしての〝戦場〟が香港からニューデリーに移るという。再会は残念ながら慌ただしかった。

 「生命の世紀」と21世紀を位置づけられた池田大作先生のもと、「世界平和」実現の幕間と捉えてきた僕らにとって、現状は極めて厳しい。後事を青年世代に託すほかなく、できるだけ若者に会おうと僕は決意している。その意味でも良き機会を作ってくれたH君に感謝をしつつ束の間の会話に力を注いだ。香港、インドという現代アジアの最先端地域で、腕を奮い知恵を試す場に挑む青年に微力ながらのアドバイスの言葉を費やした。だが、刺激は若者よりも、当方が存分に受けたに違いない。

⚫︎往年の番記者たちとの久方ぶりの出会い

 夕刻6時からは新橋の中華料理店で。先年、市川雄一党書記長を偲ぶ会をやった際に尽力してくれた番記者諸氏男女5人が集まってくれた。当時30代前半だった皆は時の流れと共に新しい道に進んでいる。変わり種は、女性放送記者から大学教授(兼広報部長)に転身して数年が経つYさん。最近の大学生気質や、大学経営の大変さを語ってくれた。

 また、中学校での数学の授業を理解することが難しい生徒のために、個人教授ボランティアをやっているAさんの苦労談はとても新鮮だった。どうしても分からなかった問題がわかるようになって、試験もうまくいったとの体験は感動を呼んだ。「テレビの世界」を続けながらの彼の「余技」に皆が感激した。「リカレント教育」の大事さをふと思った。

 「連立離脱」という選択決断に至った経緯や、いわゆる極中道や真中道といった路線にまつわる質問が僕には向けられた。「安保研リポート」に書いた論稿を皆にラインで事前に見せていたので、それを読んだ上での問いかけもあった。久方ぶりに党広報局長をやっていた昔むかしを思い出した。ついつい乗ってしまっての長話。それを我慢して辛抱してくれた「聞き上手」たちに、感謝するしかなかった。(以下続く 2025-11-29)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Leave a Comment

Filed under 未分類

Comments are closed.