4日に投開票が行われた東京都議選。公明党は23人全員が当選することができた。山口那津男代表が言うように「奇跡的な結果」であり、勝って兜の緒を締めることが求められよう。全体状況で注目されるのは、一つは、都民ファーストが一部で予測されたほど後退せず、第一党の座を自民に譲ったものの31議席を獲得し、第二党に踏みとどまったことである。二つは、自民党の復活が思うに任せず、過去2番めに少ない33議席に留まり、公明と合わせても過半数に届かず56議席に終わったことだ。三つは、立憲民主が倍増したというものの、都民ファには遠く及ばず、共産党も1増に過ぎなかったということである▲この結果から何を汲み取るか。都議選だけを見れば、都民ファという政党が一過性の存在でなく、一定の大衆基盤を持つ政党だとの冷静な見立てを持つべきだろう。4年前の結党時の小池ブームの再来には遠く及ばなかったが、〝小池抜きでの選挙戦〟で、それなりの存在感を示した。民主党から民進党を経て立憲民主に至った「イデオロギー優先」の残滓を持つ政党とは異なる、といえよう。自民党の伸び悩みをどう見るか。中央のコロナ禍への対応の遅れ、東京五輪パラリンピックへの右往左往などの、国政の不始末の影響をもろに受けたと見るのが自然だと思われる▲国政で自公政権を組む公明も、同じ批判の対象であったはず。それが辛うじて直撃を免れたのは、日頃からの区議と連携した地域活動の細やかさが実ったと言う他ない。昭和40年の都議会の「黒い霧解散選挙」以来56年。公明党の原点とも言うべき「大衆に依拠した政治」がそれなりに根づいてきている証左と言っていいと思う。中央における与野党対決の政治に飽きたらない無党派層の希望をどこの政党グループが掬いあげてきたかは、今後の詳細な検討が求められる。だが、身は政権与党におけども、精神的支柱は改革志向を崩さぬ大衆政党への期待感は揺るがないと思われる▲ただし、公明の立ち居振る舞いを真っ当に評価せず、時々の風に敏感なだけと見る向きもある。4年前にそれまでの自民党と関係を改めて、小池・都民ファと選挙協力をしたかと思うと、今回は自民党と組んだことについて、である。庶民大衆の求める政治的志向を疎かにしない伝統の所産だと思われる。今秋に予定される衆議院選挙に、今回の選挙結果がどう影響するか。既に共産党と立憲民主党の選挙協力が一部で功を奏した(中野区や豊島区など)ことから、これを全国的に広げようとの気運が窺える。どんな事態になろうと、「中道改革政党」の本質は、大衆との一体感にあると確信を深めて、地道な日常的市民相談に邁進していきたい。(2021-7-5)