《3》20年が経った「9-11」ー中東の今と世界をどう見るか/9-11

2001-9-11ー21世紀が始まった年のあの日の出来事の衝撃は、20年が経った今も忘れ難い。直前までNHK総合テレビで、姫路城改築工事に伴う、心柱をめぐる興味深い番組を家族と共に観ていた。その番組が終わるやいなや流れた臨時ニュースだった。米ニューヨークの中枢に聳え立つ世界貿易センタービルに、乗っ取られた旅客機が直撃している瞬間とは思いもよらず、たちの悪いフェイク番組でも見せられているような気がした。それが嘘でも夢でもないと知って、ただならぬ奇妙な恐怖が走った。〝世界戦争〟の予感がしたのである▲しばらくして、アメリカ人の怒りがいかに大きいか、直接聞く機会があった。つい先年亡くなった大沼保昭さん(東大名誉教授)のご自宅に、一緒に招かれていたジェラルド・カーチスさん(当時、政策研究大学院大客員教授)の話を聞いた時のことだ。草の根分けてでも首謀者を探し出す、イスラム原理主義者を許さないし、戦争をも辞さないなどと、冷静なはずの学者らしからぬ憎しみに満ちた〝報復の言葉〟が次々に口をついて出てきた。あれから20年、米軍のアフガニスタンからの撤退を巡るニュースに接して、結局はすべて元に戻ったとの感が強い▲アフガニスタンでの戦争と比較して語られるのがベトナム戦争である。あの頃、西側陣営が恐れたのは、共産主義の「ドミノ倒し」であった。べトナムで食い止めないと、東南アジア一帯が赤化する、との恐怖であった。確かにベトナム、ラオス、カンボジアが対象となったが、大勢に影響はなくて済んだ。今、アフガニスタンが再びタリバンの支配下に戻り、中東地域では、テロの「ドミノ倒し」が恐れられている。イラクを筆頭に、候補国は枚挙にいとまがない。ベトナム戦争の頃、老いも若きも抱いた怒りや関心。それが今の日本には不思議なほどない▲米軍が去ったアフガニスタンに〝忍び寄る中国の手〟との報道もある。テロとの二重の脅威が、中東と西側諸国の双方を覆う。ことここに至った背景には、「米国の世界観に流れているある種のおごりの問題」(田中浩一郎慶大教授。毎日新聞9-6付け夕刊)にあるとの見方が強い。西欧製「自由と民主主義」の価値観をもとに、勝手な国づくりを押し付ける手法は、既に数多の失敗を重ねてきた。では〝警官なき地の無法〟に目を瞑り、新たな〝ならず者の横暴〟を許すことになっていいのか。ベトナム戦争終結(1975年)から約46年。事の本質は何も変わっていず、自分も皆も何も分かっていないことに気付くだけである。(2021-9-11)

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