参院選が終わって10日あまりが経ちました。日本維新の会は、比例区で得票を大幅に伸ばし、大阪政党から全国政党へと一歩前進したといえます。運動量において圧倒的に差があるこの党に、比例区で170万票ほどの差をつけられた公明党陣営としては、心中穏やかではありません。次の機会に向けてどう体制を立て直すべきでしょう。ここでは、友人たちが私に向けてきた疑問から考えてみます。
★自公間でビジョン検討チーム作れ
まず第一に、公明党は自民党と一緒になってこの国をどうしたいのか、よく見えないという根源的な疑問の提起です。相手は60年来の友人。自民党と与党を形成するようになって、本来の特徴が見えにくくなったというのです。確かに、お互い自己主張を抑えて、妥協する側面が強く出ていると言わざるを得ません。選挙での相互支援が表に出て、内実の相違点が明確にならぬまま、特質発揮がおざなりになっていると言えましょう。
この問題を回避するには、私は早急に両党の間でビジョン検討チームを作るべきだと思います。報道によると、選挙直後に自公党首は選挙の相互支援を労りあったのち、19日には連立政権合意を踏まえて、政策課題解決に向けて、結束を確認しあったようです。それに留まらず、もっと深いところでの協議が求められると思うのです。とりあえずは、安全保障と社会保障の両面で、この国を、この国の国民をどう守っていくのかとの方向性を明示し、人々を安心させるビジョンを提示して貰いたいのです。そのための特別チームです。
★党代表選挙を実施せよ
第二には、公明党は代表を選ぶにあたって、選挙を経ないのは、民主主義政党としておかしいとの指摘です。これは、私の親しいある大学の政治思想史を専門とする教授からのものです。ゼミの学生たちに意見を聞くと、公明党に抱く疑問の最大のものは共産党と同様に、党内民主主義の欠如だと見えるというのです。どこでどう決まったか分からぬ形で選ばれた代表では、いかに優れた人物であろうと、おさまりが悪い、と。私はこれまで、党代表選挙をしても、党内を分断するだけ。いいことはない、と思ってきましたが‥‥。
もし、これから公明党が代表選挙をするなら、連立政権参画の是非を巡って、改革か安定かの選択などの論争は、世の注目の的になろうかと思います。二枚看板の「平和」、「福祉」政策も、どう深めゆくかが大きなテーマでしょう。党の置かれた状況を思いやる時、思い切ってやれば、との思いが高まってきます。
★話題性のある候補者を選べ
第三に、公明党の人材には、優秀な人が多いことは分かるものの、もっと話題性や集票能力のある著名人を求めてはどうかとの、元官僚の意見です。比例区の場合はそういったことで、浮動票を集められるとの意見でしょう。加えて女性が今回の比例区7人にゼロだったのは理解不能だと言われました。
かつて、公明党は、学者、文化人ら党外の有識者にその道を選択してもらうという大胆な方針を取ったことがあります。私も公明新聞記者時代に、党の公認候補になった、原子核物理学者の伏見康治日本学術会議議長(当時)の人物紹介を担当したことがあります。この人を始めずらっと6人ほどの著名人を並べた名簿は壮観でした。その後、様々な意味で功を奏せず、この試みは長く続きませんでした。今やれば面白いかも、との考えも頭をもたげてきます。
また、女性候補については、確かに少ないと思われます。それこそ、ずらっと比例区はオール女性を並べると、話題性は凄いでしょう。ともあれ、もっと色んなことを大胆にする必要があると考えます。(2022-7-21)