【85】池田SGI会長の緊急提言をめぐる友人対話(上)

 池田大作創価学会SGI 会長が11日に、ウクライナ危機に対して「緊急提言」をされました。ここではその提言をめぐる問題について、友人との対話を試みました。(あくまで私の主観的見方であることお断りします)

Aこの緊急提言には、『歴史創造力の結集を』とあります。これは耳慣れない言葉ですが、どういう意味があると思います?

B 一番最後に、「核戦争の寸前まで迫った危機を目の当たりにしたからこそ、当時の人々が示したような歴史創造力を、今再び、世界中の国々が協力し合って発揮することが急務」とあります。「キューバ危機」は人類が最初に経験した、文字通り歴史上初めてのことでした。つまり、新たな歴史を「創造」したのです。今回は2度目ですが、初めての時のような〝緊張感と使命感〟を持とうと訴えておられるのだと思います。

A  「結集を」という言葉の持つ意味は、1回目と違って、複数の国家が関係しているからですね。ロシアがウクライナに仕掛けた戦争ですが、NATO諸国が背後でウクライナを支援しています。

B 60年前の時は、「米ソ対決」のニ大国間の狭間で、核戦争の恐怖が高まりました。キューバが戦場とならないうちに、両者の鍔迫り合いのままケネディ、フルシチョフ両首脳の英断で、終わったのです。今回は、ウクライナがNATOへの親近感を示していたこともあり、「ロシア対NATO」の構図になっています。NATOといっても、中心は米国ですが、米国が直接関与すると、全面核戦争になる懸念が強く、間接支援に徹しており、結果的に、戦争が長期に渡って膠着し、一進一退を続けているわけです。まずは、米国、フランス、ドイツ、イギリスなど主要NATO国家の意思が結集される必要があるのです。

A その複数の国家の意思が統一されることが大事ですね。池田先生が、「国連が今一度仲介する形で、ロシアとウクライナをはじめ主要な関係国による外務大臣会合を早急に開催し、停戦合意を図る」よう、強く呼びかけているのは、そのためですね。

B それが最大のポイントの一つですね。主要な関係国がどこになるかが、重要ですが、やはり、国連の常任理事国が集まるべきだと思います。でないと、ロシア断罪の場になりますから。通常の意味では、ロシアに非があるのは歴然としていますが、その言い分をしっかり聞くことは大事です。また、比較的その立場に理解を示す国家も加わる方がいいです。その意味で中国の参加がカギを握ります。

A 中国とロシアは、共に専制主義国家というか、非民主主義国家として最近同一グループ視する向きがあるようです。かつて社会主義国家を全面に掲げていた時代はこの両国は歪み合っていたようで、池田先生が双方の和解に向けて動かれたことが知られています。ところで、「民主主義対専制主義」という国際政治の枠組みを設定することに果たして意味があるのでしょうか?

B 新年の新聞各紙の連載やメディアの論調は、そういう枠組みで捉える傾向が歴然としています。しかし、それはかえって危険ですね。冷戦時代に「ソ連脅威論」が西側世界に強かったのですが、むしろ「米ソ対決脅威論」、つまり一方だけを脅威の的にせず、双方が歪み合うことそのものに、脅威の因があるという考え方でした。公明党はその立場に終始しました。

A その背景には、池田先生のソ連、中国という社会主義国家ともパイプを持ち対話をすべし、との率先した「民間外交推進」姿勢があったと思います。戸田城聖会長以来の「地球民族主義」の精神の影響であり、公明党が立党以来堅持している立場ですね。今こそ、その精神の発揮が大事と思いますが。

B 公明党の山口那津男代表が、様々な批判を浴びながらも、中国やロシアを「脅威」と決めつけず、対話を重視すべし、との姿勢に立っているのはそれだと思います。もう一歩進めて、積極的に対中、対露との協調姿勢を打ち出し、「NATO対中露」「民主主義対専制主義」といった枠組み対決の構図にはまらない事が重要だと思います。(2023-1-13  つづく)

 

 

 

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