A ウクライナを支援する西側がロシアや中国との対話をすなべきだとの主張は正論だと思うけど、果たして相手が応じるかどうか、交渉のテーブルに乗らないのではないかという疑問がありますよね。
B だからといって、敵視するばかりではもっと危険では? ロシア、中国も国内政治、とりわけ経済に関心が深いのだから、外相に加え、経済担当の大臣クラスの対話など重層的な話し合いが大事でしょうね。お互いが打ち解け合うことが大事です。
A 確かに、30年前の米ソ交渉は、レーガンとゴルバチョフという開放的な両者の人間性もあって、うまくいったと、昨年末のあるテレビ番組が回顧していました。その点、プーチンはスパイ組織、KGB出身ということもある上、ゴルバチョフのおかげで、ロシアの国力が低下し、世界の中で、辱めを受けた、それを取り戻すとの思いが強いように見えます。
B その思いが強くあり、「民族の栄光を」、「強いロシアの復活を」との呼びかけに、ロシア国民が今のところ共鳴しているのですね。戦争の実態の情報や世界の反応が真っ当に伝わっていないようです。ただ、やがて必ず情報は浸透すると思います。諦めず、情報閉鎖の壁は打ち破れると確信することでしょうね。ともかく世界はグローバル化しつつ、国家主体はナショナリズムにとらわれているように見えます。
A そうですね。前大統領のトランプによる、「アメリカ・ファースト」の主張は、強いアメリカの復活待望論を背景にしており、見ようによっては、かつての米ソ両大国が共に落日を迎えているということですね。プーチンの主張に共鳴するアフリカや中南米の国々が少なくないというのは、煎じ詰めれば、「どっちもどっち」との受け止め方が蔓延しているように見えます。
B その傾向は注目した方がいいですね。どうしても、歴史を振り返ると、かつて、大航海時代の流れを受けて、ポルトガルやスペインが世界を跋扈したあと、イギリスがその首座を奪い、やがてそれはアメリカにとって代わり、今や中国がその位置を奪おうとしているとの見方がポピュラーです。しかし、もはやそういう覇権争いは終わりにしようという考え方も台頭してきています。
A なるほど、覇権国家ゼロ、つまり、国家は皆同じ価値を持つとの考え方で、左や右、あるいは民主主義や専制主義という二極論ではなく、盟主を決めない、求めないというものですね。考え方としては新鮮で、面白いように思われます。
B 例えば、人口で中国をやがて追い抜く勢いのインドが、NATO、中露のどちらにもつかず、中立的立場をとっているというのは象徴的です。本来なら、日本こそそういう立場をとるべきでしょうが、米国との同盟にどっぷり浸かっていて難しいというのは残念ですね。
A 本当にそう思います。日本は歯痒い限りです。池田先生が既に40回ものSGIの日「記念提言」をされていて、今回の提言にあるような、「核兵器の先制不使用」などを懸命に訴えてきておられるのに、さしたる反応がないのですから。公明党ももっとしっかりしないと。
B いや、先に政府与党が決めた「安保3文書」にはその姿勢は明確に打ち出されていますよ。他にも公明党が歯止めを色々つけていることは注目されます。大事なことは、国家の枠組みを越えて、市民相互の結集による国際世論の潮流を起こすしかないと思います。ですから、やはり平和の回復に向けて、「歴史創造力の結集」が必要ということなんですね。過去に類例を見ない、未曾有の史上初の動きを創造するということですから。(2023-1-14)