アメリカがイスラエルと共に、2月28日にイランを軍事攻撃した。その際にイランの最高指導者ハメネイ師が死亡した。これに関連して、トランプ米大統領は、①差し迫った脅威から米国民を守るため、大規模な軍事作戦を開始した②ミサイル、海軍、新イラン組織の能力を壊滅させ、核武装を阻止する③革命防衛隊や軍、警察などの一部が戦意を失い、米国に免責を求めている。国の立て直しに協力することを期待している④精密で激しい爆撃は今後1週間、もしくは中東と世界の平和達成のために必要な限り、中断なく続く━━などと言った声明を発表したと伝えられている。いずれも怪しげと言わざるを得ない。イランは直ちに報復を開始すると共に、大統領ら3人で作る臨時指導協議会を発足させた。報復の激化、応酬で紛争の長期化は必至だとの見方が強い◆今年冒頭のベネズエラへの軍事介入、大統領拘束を思い出す。トランプ大統領は、地上軍を派遣することなく、目的をほぼ達し得たことに味を占めたと見られることが指摘されている。つい先日、ロシアがウクライナを侵略し、戦争が始まって4年が経過したばかりである。第二次世界大戦後の「冷戦期」における米ソ(露)二大国が共に国際法を無視して、無謀な軍事破壊を試みる姿は、歴史の逆行を超えており、到底容認できない。たとえ、いかなる事情が相手国にあったとしても、外からの軍事力による介入は許されるものではない。この80年の世界史における戦争の顛末を見る限り、戦争を仕掛けた側の国内の戦争反対の世論に待つしかないと思われる。さて、米国内はこのイランへの軍事攻撃に対してどう動くか。米国歴史上、社会の分断が今ほど極まった時はないといわれているが、世論の動きを注目したい◆そんな時に、日本人記者がイラン当局にスパイ容疑で拘束されたとの情報が入ってきた。その人物が旧知のK記者だと分かって、驚いた。数年前に神戸・北野坂の異業種交流会の場で出会った。しばらく経って鳥取の支局に転勤になったと聞き、松江に行った際に寄り道して会おうとしたが、都合がつかず断念したままになっていた。テヘラン支局に派遣されたことまでは知らなかったのだが、同会のホスト役からの連絡で判明した。屈強な身体つきのナイスガイだったとの記憶が甦ってくる。アメリカの同盟国日本のテレビ記者。何があったか不明だが、スパイ容疑がかかるとは。無事に解放されることを望みたい。この交流会には様々な人々が集まるが、少し前までは近所に住む米大リーガーのダルビッシュ投手の実父がちょくちょく顔を出していた。その人は生粋のイラン人であり、時に彼の対米観を聞いたことがあったが、明るい笑顔が印象的だった◆日本では、ホルムズ海峡封鎖がもたらす原油高が懸念されている。茂木外相は、「イランによる核兵器開発は決して許されず、米国による対話を通じた問題解決を一貫して支持をしてきた」というが、対話ではなく、軍事力行使に至った現状についての判断は不明である。武力行使は支持できないとの態度を鮮明にすべきだ。この状況を前に、第三次世界大戦の開始を懸念する向きがあろう。過去の二つの世界大戦では、複数の大国が正式に参戦し、戦域が地球規模にまで広がって、総力戦体制を各国が発動するといった共通点があったとされる。参加国も第二次大戦では60カ国を超えた。現状ではそういった過去の事例とは程遠い。だが、今後の推移しだいではそうならないとも限らない。国際政治の専門家の間では、慢性的な大国間対立状態の中で、国際秩序の再編を狙う動きが起きているとの見方が支配的なようだ。そんな状況下で、ただ黙っているだけで何もしない日本、日本人であってはならないと思うことしきりである。(2026-3-2)
【75】アメリカとイスラエルのやりたい放題━━イラン侵攻と世界の危機/3-2
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