コロナ早すぎる第二波の襲来で試される想像力

新型コロナ感染者数が落ち着いたと思っていたら、またぞろ増えだしてしまった。月末に上京する予定であったのに、中止にせざるを得なくなったのはまことに残念というほかない。せっかく行くならと、あれこれ予定を作っていただけに、中止、キャンセルを伝えるのは切なく煩わしい。政府が企てた「GO TOトラベル」も、あれこれ物議を醸しつつスタートしたようだが、前途多難は免れない。旧知の記者が言っていた。「赤羽国交相は、その昔、阪神淡路大震災の時に、これは人災だ!と叫び、時の総理・村山氏らを指弾したが、めぐりめぐって今度は自分が同じ言い回しで攻撃されている。天に唾したようなもんだ」と▲それにしても、政府の右往左往ぶりは見苦しい。これまでなるべく批判めいたことは言うまいと心掛けてきたが、初めて禁を破ってしまいそうだ。対コロナの闘いが長期に及ぶものと思いながら、夏の本格化と共に、感染者数も少なくなるはずと誰しも漠然と期待していたのが、裏切られた。大分遠い先だろうと勝手に思っていた第二波が早くも来たと思わざるを得ない。死者が千人を超えたと聞いて、改めて恐怖感を抱くも、米国などと比べてしまう。また、倒産企業の激増を聞いて、失業への恐怖に思いをいたすも、年金生活者ゆえの想像力の欠如が付き纏う。目に見えぬコロナウイルスよりも、我が老化に伴う身体のあちこちの痛みの方がリアルだし、今日明日の食い物に不足せぬ日常に埋没してしまう▲この事態を根源的に解決するにはウイルスに打ち勝つワクチンの開発を待つしかないのだろう。それまでは、医療現場で悪戦苦闘する医師や看護師のご苦労に思いをいたすのが精一杯の支援かもしれない。自らのしでかした失敗を他人のカネで償う大臣の能天気さを心配するぐらいしか出来ない、我が身も無力さ加減において似たり寄ったりではある。そんな自虐的感慨に浸っている時に、神戸在住の作家・高嶋哲夫さんがオンラインで、「特別セミナー」をやっていることを知った。コロナアフター後の世界を、本とITで考えるというものだった。外せぬ用があり、ご本人からのお誘いをいただきながら参加出来なかったのは残念であったが、この人は凄いと改めて思う▲『首都感染』から『首都崩壊』を書いた想像力には改めて敬服し、感嘆せざるを得ない。政治家の端くれに身を置く者のひとりとして、高嶋さんの予測通りに今恐るべき事態が着実に進行していることを憂える。高嶋さんは前者でワクチンの開発に希望を抱かせ、後者では首都移転で未来に灯りをともした。書物の上では、決してタイトルから連想するような絶望を押し付けたわけではない。しかし、オンラインでは、対応を急がねば取り返しのつかないことも起こりうると警鐘を鳴らしたと見る。コロナ禍の世界と文明の行末に関心を持つだけで、あたかも哲学者になったかのごとき振る舞いで、お茶を濁し、コーヒーをかき混ぜてきたような自らを恥じ入る。さて、どうするか。(2020-7-24)

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