2年ぶりに開催された党首討論。僅か45分間の放映を見ながらあれこれと感じました。立憲民主党の枝野幸男氏が30分で、あとの3党首はひとり5分づつ。長ければいいというつもりはないものの、あまりに短い。骨太の議論が聞きたいのにこれではあまりに、というほかないといえます。かつて委員会室一杯に溢れた議員の姿もなく、実に静かな質疑風景に拍子抜けしました▲予想に反して菅義偉首相はそこそこ頑張っていました。というより枝野氏が攻めあぐねていたというべきでしょうか。コロナ禍の対応をめぐって、ワクチン頼りに終始することは褒められたものではないですが、これはこれまでの日本の政治の責任で、菅自民党ひとりに帰すべきものではない、というのが私の見立てです。疫病対策を真剣に考えてこず、自前のワクチン生産に真剣でなかった責めは政治家始めメディアも含む日本全体の問題です▲東京五輪の開催について、枝野氏や志位和夫氏ら野党側は反対の論陣を張っています。党首討論での菅答弁は自身の前回の五輪の思い出を思い入れたっぷりに語るなど、高年齢層の郷愁を誘うものがありました。コロナ禍の下で開くリスクはあるものの、十二分の感染予防策を講じつつ、世界に人間讃歌の一大ページェントを展開することの意義を感じさせたといえましょうか。人間の生命とどっちが大事かという問いかけは、次元の違う比較で、意味ないものに思えます▲テレビを見ていると、菅さんの席の後方右に公明党の山口那津男代表の姿がありました。与党であるが故に党首討論に出られないのは残念です。NHKテレビでの毎週の国会討論会のように、党首討論でも自公の代表と野党の代表が一つのテーブルを囲む形式で、3時間ほどじっくりと対論をやればいいのに、と思います。折角の党代表でいながら、存在感を示せない山口氏は気の毒です。そのせいかどうか、同じ日の記者会見で自民党議員の不始末を厳しく糾弾する発言をしていました。ともあれ、今のような形式を一新する知恵が国会に求められています。(2021-6-11)