【53】「自公連立」の勝利と公明党得票減の課題➖朝日Web『論座』への寄稿から②/7-28

 選挙の勝敗は、議席の増減と得票の増減とで、一般的には推し量られる。投票率や立候補者数(政党数)も微妙な影を落とす。参議院比例区では、政党名と個人名投票が混在する影響も無視出来ない。今回の選挙結果は、トータルな議席増減結果では、与党が勝ち、野党は負けた。ただ、比例区では、自民、公明の与党組は議席、得票率共に減らした。手放しで「自公勝利」とはいえない。公明党としては目標の800万票(結果は618万票)、選挙区と合わせて改選議席獲得目標14議席(13議席)の現状維持ができなかったことは残念という他ない。

 自公間の選挙協力の取り組みは今回、相互推薦をめぐって初期の段階でギクシャクしたといころがあったが、最終的には功を奏した。出自も歴史も違う政党が相手方の候補の名前や政党名を書くことは、この20年あまりで定着してきた。とくに、公明党候補が出ていない選挙区での自公両党は(推薦を断った一県を除き)ほぼ一体化しているといえよう。見返りとしての「比例区は公明党」が実効をあげているかの詮索は、もはや詮なきことだろう。

 相互推薦をしあった埼玉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の5選挙区では、自民党支持者からの票が公明党候補にきた。私が所属する兵庫県でその手応えは過去二回に続き、明確に感じることが出来た。自民党の候補者も三度目の正直で、もはや自分のところの票が流出する一方だとの〝被害者意識〟から脱却して、「自公合わせて共に勝つ」との広い度量を持たれたことと信じたい。思えば、定数2の時代にしっかり公明党は自民党候補を応援してきたのだからそのお返しを頂いてもいいはずなのである。

 公明党の比例区戦略について、支援をしてくださった方々からの素朴な疑問を頂いた。そのうち、ある官僚OBは、改選対象の7議席を当初から公明党は獲得する気はなかったのではないかとさえ、指摘される。得票結果を見ると一目瞭然、上位6人と7番目以下の得票数は桁が違う。明らかに、支持する地域の割り当てがなかったと思わざるをえない、と。私は。全国の総投票パワーで7人を押し上げるから問題ないとの判断だったと答えた。だが、ここは目標の7議席を取れるように、担当エリアを分けなかったことへの不可解さは残る。

 また、ある大学の教授(政治思想史専攻)は、公明党は真っ当な形で代表選挙をしないのはなぜか。現状では党内民主主義があるとは思えない、これでは浮動票を大きく望めないのは当然だ、と。私は小さな政党だから、代表選は党分断に繋がりかねないと答えたものの、説得力のなさをいささか恥じる。もうそろそろ代表選挙をオープンにやるべきときかもしれない。

 公明党は日刊の機関紙を持つ。選挙期間中の選挙区候補、とりわけ激戦区候補への連日にわたる投票呼びかけは凄まじい。読者の印象、結果如何は実証が必要だが、少なくとも比例区候補との、野球の一軍と二軍選手のような大いなる差異は気になるし、候補者の奥歯の不具合までわかるのはやり過ぎと笑い話めいた声も聞いた。拡大した絶叫写真を連日掲載する号外仕立てより、そのスペースをなぜ言論戦に使わないのか、との辛辣な声もある。(2022-7-28 つづく)

※これは、さる7月22日に朝日新聞Webサイト『論座』政治・国際欄に掲載された、私の『公明、自民両党が参院選後にやるべきこと〜内外に山積する課題を前に』を転載しました。

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