【99】明石市に見る新型ポピュリズムの台頭──統一地方選挙結果から❶/4-26

●パワフル市長とパワハラ市長のはざま

子午線上にあり、『源氏物語』ゆかりの明石市は、御食国(みけつくに)の名を持つ淡路島が指呼の間に横たわる風光明媚な地域である。明石港のすぐそばには「魚の棚」(うおんたな)と呼ばれる商店街があり、地元の人びとはもとより、内外の観光客を惹きつけてやまない。明石駅の真北には、剣豪・宮本武蔵が携わったという庭園を持つ明石城が聳える。

この地域で12年間市長を務めた泉房穂氏がこのほどの選挙で引退をした。同氏は、「子育てしやすい町づくり」の政策を積極的に進めたことで、注目される一方、市の職員や市議に対して幾たびか暴言を吐き、パワハラ市長としても全国的に有名になった。子どもや高齢者向けの福祉助成策をめぐって、市民に根強い人気を誇る一方で、財源調達の方途、議会での合意形成を軽視する手法は、深い不信感と分断をもたらした。

政治家を引退するとは言ったものの、選挙で全面的に支援した後継市長、市議グループに対して、いわゆる「院政」をしき、市政への影響力を強める意向である。しかも、今後自らのその手法を他の地域に広めていきたいとしている。泉氏的なるものと12年戦ってきた西村康稔氏は、自民党元首相の故安倍晋三氏の側近だったことで知られる。まともに戦えば、負けるわけがないと思われた。それが負けた。なぜか。その理由を探ってみたい。(4-27  一部修正 以下つづく)

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