10月の7,8両日に行われた共同通信社の世論調査結果のうち、政党支持率の項目にはいささか驚きました。「あなたはどの政党を支持しますか?」との問いかけに、自民党から民主、維新、共産、社民党と主な政党が軒並み前月よりも伸ばしたにも関わらず、公明党だけが支持率を下げていたからです。ちなみに、自民は32・8%から36・8%へ、民主は9・5から10・4、維新は、2・8から4・4、共産は3・9から4・2、社民が1・5から1・6といった具合です。それに対して、公明党は、3・8から3・6へと僅かながらではありますが、減らしたのです。あまりメディアでは注目されませんでしたが、私は気になったので、親しい共同通信社の記者に意見を求めました。自民党も一緒に下げたのなら、安保法制が原因とみられようが、なぜ公明党だけなのか、と▼答えは、安保法制のせいではなく、軽減税率で公明党がブレたからだ、というのです。ご承知のように、財務省サイドから妙な案が出されて、一部新聞報道がそれに公明党が乗ったという書きぶりをしました。北側副代表が事前に自民党との水面下工作で了解をしたかのごとく報じられたものです。その記者は、北側氏だけではなく、党の首脳はこぞって同調していたと見て、決して一部報道の勇み足ではないとまで言って、同業他社の肩を持っていました。真偽のほどを知る立場に私はありません。そうかもしれないと思う程度です。家人などは、その一部報道に接して「断固財務省案などは許されないよ、僅かばかりのお金が返還されるぐらいでは承服できない」と、いつになく熱っぽく多弁で、おかんむりでした。消費者は消費税に敏感で、食料品などはむやみ上げられてはたまらん、と端から決めてかかっているのです。そういう有権者が公明党の垣間見せた態度に怒ったというのがくだんの記者の見立てでした▼勿論、今は公明党はそんな態度をとっているわけではありません。当初の予定通りに軽減税率導入を実現する構えを強めています。自民党も財務省寄りが目立った税調会長を替える一方、安倍総理も公明党と同一歩調をとるべく懸命な姿勢を示しているようにみえます。さる15日に公明党の井上幹事長は、17年度導入は与党の公約であり、具体的な制度設計に向けて年末の税制改正大綱の策定までに成案を得るよう努力したいと記者会見で表明したばかりです▼確かに、軽減税率をめぐる制度設計が極めて難しいことは言うまでもありません。煩雑な事務手続きには賛成する小売業者などいないのです。一方で、消費者はそんなことにおはおかまいなく、ひたすら財布からでていくものを抑えたい一心です。この食い違いをどう収めるのか。まことに政権与党の腕の見せ所です。間違っても変な案を出すことのないように願いたいものです。年末の合意案次第では、さらに支持率が下がるかもしれません。ともあれ初心を忘れず合意形成にまい進してもらいたいことを願っています。(2015・10・19)