【168】島根の友と共に、徳島・鳴門の大塚国際美術館に行く/7-1

 徳島県と島根県──四国と山陰の、共に参議院選挙での合区を余儀なくされた県です。前者は高知県と、後者は鳥取県と。つまり4県とも人口減に悩む地域ですが、私は数年前から徳島の美波町、島根県の出雲市の地域おこしにちょっぴり関わってきています。地域産業活性化支援プロジェクトマネージャーの勝瀬典雄さんと、知己を得て、私も両県の市町への関わりをここ数年強めてきたことが背景にあります。先月29日から一泊二日で、島根県の出雲市と松江市に住む友人が徳島県鳴門市の大塚国際美術館見学にやって来るというので、勝瀬さんと共に私も合流、あれこれ懇談してきました。加えて翌日は作家の玉岡かおるさんの出版記念を祝う会が神戸ポートピアホテルで開催されたので、ひとり参加してきました。玉岡さんは『われ去りしとも美は朽ちず』との作品で、大塚国際美術館建設のドラマを描いた人であり、偶然の〝重なりの妙〟を楽しんできた次第です◆島根県からやってきた友人3人は、40歳台後半から50歳台までの気鋭の経営者。この5年くらい交流を深めてきた仲間たちです。リーダー格のTさんは、松江に本社を、出雲に支店をおく、ナッツ類、スルメや魚介類などによる〝おつまみ〟を販売する商社のトップ。若き日に東京で人材派遣関連企業に勤めて、研鑽を重ねて後、生まれ故郷の島根に戻って今の仕事に取り組んできました。全国各地に営業網を広めつつ、この30年東南アジア、欧州、世界を睨んでいます。ついで、出雲市で老舗の印刷業の二代目であるNさん。3年前から出版業に触手を伸ばしてきています。この新たな事業展開に勝瀬さんが深く関与。そして私も。出雲における出版文化向上に役立てばとの思い止みがたく、拙著『77年の興亡』をこの人に託し、3年連続で本を出してきました。更に、出雲の造園業界の雄・Tさん。この人も、勝瀬さんのアドバイスのもと、日本の庭園を世界に広げる試みに取り憑かれています。コンパクトなミニ庭園を実用化し、日本から世界へと壮大な「日本文化輸出」を夢見ているといえましょう◆このメンバーたちを軸に、出雲市地域の発展に尽力しようとする試みはこの数年勢いを増しています。先年、「メタバース」(コンピューター上の仮想空間)を市場に導入しようとする動きが島根でも急速に高まったのですが、背景にはこの人たちのチームプレーがありました。今回の徳島・鳴門の大塚国際美術館見学は、これまでの地域おこしの試みを振り返り、次なる飛躍への道筋をつけるための「研修旅行」的意味合いがありました。世界の宗教的芸術や名画、彫刻などが一望のもとに出来る場所に集まって、鋭気を養い意欲を高める試みはとても重要なチャレンジでした。この美術館創設の初期段階から関わった勝瀬さんの誘いのもとに、壮大な試みの心意気に触れ得たことは、必ずや大きな実を結ぶものと思われます◆私はかねて作家の玉岡かおるさんと交流がありましたが、偶々30日に神戸で作家デビュー35年と『さまよえる神剣』の出版を祝う会があるとのお知らせをいただきました。当初は島根からの友人たちとのツアーに最後までお付き合いするつもりでしたが、急遽、予定を切り上げて、鳴門から神戸へと走ることに変更しました。私のわがまま的側面は否めなかったのですが、両方とのご縁を大事にしたいとの私流儀を許して頂いたのです。今回出版した『ふれあう読書ー私の縁した百人一冊』の下巻に玉岡かおるさんの一冊(前掲の書)を入れる予定でもあり、欠かせぬことだと思われました。作家デビュー35年を振り返る試みは、中々見応えがあるもので、播磨地域から全国まで、彼女のファンを含め多数の関係者が集う宴は大いに盛り上がりました。パーテイ現場で一人ひとりの参列者と声を交わす玉岡さんの姿勢は味わい深いものでした。私も大塚国際美術館から駆けつけたことを伝えると大いに喜んでくれたことは言うまでもありません。(2024-7-1)

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