今夏の観光から➂-シンガポール、香港で淡路島と神戸を想う


現役引退後三年半あまり、残念ながら海外には行く機会がありませんでした。インバウンドを推し進めるものにとっては、アウトバウンドも経験しておかなくてはなりません。密かに機会をうかがっておりましたら、遂にやってきました(いささか大袈裟かな)。今一緒に観光の仕事を進めている仲間には、実に多彩な人材がいますが、そのうちのひとりであるJKHジャパン(株)の社長・竹田義信氏からシンガポール、香港への旅の誘いを受けたのです。偶々このほどシンガポールに赴任したばかりの篠田浩次大使は旧知の間柄でもあるし、香港には和僑の雄で友人のホープウィル(株)社長の堀昭則氏がいます。彼とも久しぶりに会いたいので、二つ返事で快諾しました▼シンガポールには10数年前に経済評論家の大前研一氏や市川雄一公明党元書記長らと行ったことがあります。マレーシア、オーストラリアへも足を伸ばした忘れがたい旅です。何しろ大前氏はリー・クワンユー氏やマハティール氏らと昵懇で、それぞれの国の政府アドバイザーを務めていましたから。今回はそれ以来です。躍進するこの国の現状を大使との対話で実感してから、街なかに乗り出しました。何しろ淡路島と同国はほぼ同じ面積。そこに兵庫県全体に近い550万人ほどの人々が住んでいるのです。大使からは同国と淡路島との交流推進やら、今年50年になる両国関係を寿ぐ記念の会への協力を求められました。願ってもないことです。竹田社長もその場で出店する企業を探す努力を約束。私も尽力する旨伝えました。竹田氏の仕事は、飲食店の経営や運営に関するコンサルティングが主なもので、これまでカンボジア、タイ、上海、台湾、香港、シンガポールなどに進出して数々の実績を上げています▼香港では、現地生まれの同社社員のエドウイン氏に通訳を兼ねての案内をしてもらいました。和僑の第一人者・堀社長は兵庫県たつの市出身で広島大を卒業した後、40代半ばの今日までずっと香港で仕事をしている強者です。ホープウイル社は香港に拠点を置き、アジア一帯の情報を幅広く発信している企業。昨今はイスラムの人々の情報を日本に向けて送り込んでいます。淡路島へのインバウンドについては、様々な意味で不透明さを漂わす中国よりも香港、台湾、韓国の人々を優先させて取り組むべきだと助言してくれました▼かねて大学生時代に師事した故中嶋嶺雄先生が書かれた『香港』を読んでいらい、この地には憧れてきました。1980年代初頭に、10日を超えた中国への旅を公明新聞記者として果した時、出国時の場所が急きょ香港から上海に変更になってしまったのは残念なことでした。堀さんの「山と海の双方から香港を眺めるといい」との勧めに従って、ビクトリア・ピークから巨大ビル群を見下ろし、スターフェリーに乗船して海から街を眺めました。神戸の六甲から観る夜景が100万ドルの夜景と信じてきましたが、その100倍もスケールの大きい香港を観て、ただ驚嘆するばかりでした。また渡し船さながらに香港の街中を結ぶ船は、明石海峡を渡る船を持つ淡路のジェノバライン(株)にとっても、大いに参考になるものでした。これからインバウンドに取り組み、瀬戸内海観光をブレイクさせたいとの望みを持つ身として、限りないヒントに満ちた「2016夏のアジア旅」でした。(2016・9.1)

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