「こんなに沢山の皆さんにお越しいただいて涙が出るほど嬉しいです」━━いささかオーバーな表現に聞こえたが、この人が言うと自然な感情の発露だと思われた。斉藤鉄夫公明党代表が一昨日の8日に神戸市内のホテルで行われた党兵庫県本部主催の「新春年賀会」(写真)の挨拶で述べた言葉である。この日、僕よりぐっと若さ漲る明石に住む友人2人と一緒に参加した。この20数年ほどの間、同年賀会には県下の自民党関係者がどっさり姿を見せていた。それが昨晩秋の「連立離脱」後の今年の会には「来るものは拒まぬが、招待はなし」との県本部の方針で、衆参両院議員始め地方議員や自民党支持層らの大幅な参加者減が見込まれていた。それが蓋を開けると、その心配が杞憂だったことを斉藤さんは正直に述べたものだと思われる◆とはいえ、我が「心象風景」にはこころなしかの寂しさが拭えなかった。見慣れたあの顔、あの人達の姿が見えない会場は、ちょっぴり熱気が乏しかったように思われたのだ。と同
時に、水入らずの集いといった雰囲気もあった。そんな中で例年と違って、県下の首長さんたち(写真)が、従来の脇役から主役に代わったかのように思われた。僕の現役の頃からずっと小野市長の地位にある蓬莱務氏(79歳・7期)や、相生市長の谷口芳紀氏(76歳・7期)らを始めとするベテランたちの談笑の輪に入っての語らいは楽しかった。僕の顔を見るや否や「『連合五党協』の頃が懐かしいね」とは蓬莱さんの弁だが、それこそ「涙が出そうだった」。打倒自民党の旗印のもとに結集した全国でも珍しい動きだったが、政治家として幅広い党派の人たちと思い存分闘い得たのは個人的に愉快な経験だった。今また公明党が自民党に代わる政権を目指す野党になったのは興味深い巡り合わせではある◆兵庫県下の首長さんが集まると、昨年の斎藤元彦県知事をめぐる騒ぎが思い出された(同知事は公務で欠席)が、話題は福井県知事のセクハラ報道に集中。「福井に比べれば、兵庫県の方が未だマシか」との声で大笑い。パワハラとセクハラ━━比べるのも恥ずかしい限りだが、兵庫県政も少しは落ち着いてきたかに思えなくもない。県知事を取り巻く一連の出来事の「市長会の戦友たち」との談論は、古傷を労わりつつ束の間ながら盛り上がった。NHK党の立花某のしでかした「世論操作の悪業」は未だに深い傷を県下に漂わせており、笑ってすませられない深刻な問題ではある◆斉藤代表は冒頭に触れた挨拶の中で、これからの公明党は「中道改革の勢力結集」に力を注ぎ、いずれ与党に戻るべく頑張りたいと述べていた。この発言は聞く人によって受け止め方は種々に分かれよう。大別すると、ポスト高市の自民党政権との連立に復帰するケースと、現在の野党と共に新たな連立政権を結成するケースの2つが浮かぶ。時間の要素も鑑みると前者が最も可能性ありと思われよう。しかし、大義の所在からすると疑問が募る。あの党がそう簡単に変わるはずがないとの見立ては根強い。ただ、後者についてはもっと悲観的だとの向きも多かろう。結局は今の与野党の枠組みを超えた「政界再編」しかないとの考えがリアルなのかもしれぬ。思索をめぐらすなかで、内に少数与党と多党化、外に分断と専制政治の台頭といった「歴史の潮音」が聞こえて来る。新たな年の幕開けに、旧態依然とした自分であってはならないとの思いが激しく立ち昇ってきた。(2026-1-10)