平成24年(2012年)末の衆議院選挙に出馬せず、引退をしてから8年ほどが経ちました。この回顧録もその時点(平成24年末)で終了することにしていました。しかし、平成の残り期間を放置していては、『回顧録』も尻切れ感は否めないと指摘される向きもあり、続きを読みたいとのお声もそれなりにあって、方針を変えることにしました。第一部が衆議院議員選挙に出るまでの40数年間、第二部が初出馬から落選を経て政治家として生きた25年間を対象にしていました。第三部は、とりあえず、平成の終わりまでの残りの6年ほどを描くことになります。
この期間はちょうど安倍第二次政権とほぼ重なっています。年齢的には68歳から74歳まで。いわゆる前期高齢者から後期高齢者までの時代です。衆議院議員を公明党の内規によって定年退職してからの時間をどう過ごしたか。一般的には興味を持っていただくだけのものではないかもしれません。しかし、「日常的な奇跡」はそれなりに続いています。政治家として第一線は退きましたが、その後の動きへの興味は当然ながらあり、消えた老政治家のその後の軌跡を描き留めおくのも一興か、と思い直しています。
新型コロナ禍の蔓延は、現代文明を根幹から動かそうとしています。その一大転換期に立ち会えたことを、喜びたいとの思いが私には否定できません。この壮絶な時代を知らずに、一足先に今世から来世へと、〝あちらの世界〟に行ってしまった、親しかった先輩や仲間たちに、伝えたいとの思いもあります。その辺りは、令和編になるのでしょうが、とりあえず、平成最後の数年間をどう生きたのか、をありのままに残す責務が、ジャーナリストの端くれから政治家になり、そしてまた自由なもの書きの立場に戻った私にはあるように思われます。
現役政治家時代を扱った第二部と違って、手元に十分な資料もないので、執筆、公開にはいささか時間がかかるかもしれませんが、何卒ご容赦をお願いします。(以上 2021-1-10記す)