●高校の後輩弁護士の活躍と連携
肝炎(B型、C型含む)患者の皆さんに寄り添う弁護士の懸命の闘いは、訴訟弁護団を通じてよく知っていました。現役の頃に、党の肝炎対策プロジェクトチームの担当をしていたからです。引退後は直接関与することはないかと思っていたのですが、さにあらず、変わらぬ交流が続きます。というのも、神戸市に住み大阪で開業しているT弁護士が私の高校の後輩だったのです。彼は訴訟団のメンバーとして活躍していました。偶々現役時代には会うチャンスがなかったのですが、引退後は公私共に深い交流を交わすことになるのです。
きっかけは以前にこの連載(第一回)で触れたFさんが、C型肝炎患者としてT弁護士に担当して貰うことになったからです。3月中旬に二人一緒にFさんの自宅を訪問して、彼やご両親にお会いして、種々過去の経緯について実態の見聞をしました。それを受けてT弁護士が訴訟の事務的手続きを進めてくれ、その結果として見事に国からそれ相当の補償を受け取ることが出来たのです。Fさんの喜びたるや並大抵のものではありませんでした。障がいを持つ身の苦しみに悩んだ半生の中で、最も嬉しいことの一つだったに違いないと私も深い喜びに浸りました。それ以来、T弁護士とは何かにつけてお世話になっています。
この年に、兵庫県明石市で日本肝炎対策協議会(日肝協)の全国大会が開かれて、私も招かれて参加しました。N弁護士や兵庫県下の患者さん達と懐かしい出会いをしました。彼ら弁護団は、肝炎に対する世の中の理解を深めるために、学校やら公的な場での講演活動等を展開しています。私もお手伝いをせねばと思い、電子書籍による肝炎訴訟の経緯などQ &Aの企画を提案しましたが、歴史的な闘いの足跡を記録として残すことの重要性を強く感じています。
●後輩県議が突然病気で倒れるショック
この頃、兵庫県議会公明党の中核の大野由紀雄議員が突然、病で倒れました。脳出血です。彼は私の住む地域のすぐ近くに住んでいて、日頃からお互いに助け合う仲間のひとりです。姫路市議を経て、県議会に転身、縦横無尽の活躍中でした。選出地域の姫路市内北部を中心に、まさに神出鬼没、至る所で街頭演説を繰り返す一方、数多の市民相談にも熱心に取り組む本当に情熱溢れる熱血議員でした。その彼が倒れたのです。多くの支持者、仲間達が心配し、気遣いました。
私はこの病にも意味があることを強調、復活を確信して激励しました。健康管理には普段から気をつけていても、いつ何時体調に異常をきたすやもしれません。彼の場合、少し前に喉に異常を感じて、しばらく治療を続けていました。そのため、脳の異常と見られる今回のケースでも、迷うことなく、同じ病院に即かかることを決断しました。しかし、手術は成功したものの、後遺症を免れず、半身が不自由な状態が残り、未だ車いす生活を余儀なくされています。
元気な時の様子が鮮明に地域の人々の脳裏に残っているだけに、当初彼の不測の事態が信じられない人が殆どでした。頭脳、言葉は明晰なのだから、車イスででも議員を続けてほしいとの声も一部にはあったようです。ただ、そうはいっても、県議は激務であり、選挙は死闘です。結局、翌年の地方統一選挙では残念ながら出馬を断念せざるを得ませんでした。あれから9年ほどが経ちました。今では、身体に障がいを持つ人々を支援する活動を続けています。(2021-3-26)