さあ、自民党との合意形成という戦いが始まる

総選挙が終わって三日が経つ。新聞やテレビなどの一般メディアによる第一報的総括も出尽くしたものと思われる。今後は週刊紙誌や月刊誌が後追いすることだろう。細かい数字的な分析は公明新聞など正規な媒体に譲り、ここは独自の視点を提供してみたい。あくまでこれから日本の政治を公明党はどうしたいのか、どうするのかということが私たちの最大の関心事だが、その初っ端としてのとらえ方を確認しておきたいのだ▼ある評論家が、今回は”逆桶狭間の戦い”だとして、大きい与党が小さい野党に奇襲攻撃をかけたものだと言っていたが、小さい与党にとっても厳しい戦いであった。同じ与党だといっても、巨大な自民党との狭間で埋没するわけにはいかず、中道・公明党は保守・自民党と、同一政権のなかで、不断に戦うことが宿命づけられている。常に自民党とはどこが違い、庶民目線から遠いものについては、それをどう正すかの視点が求められているからだ▼選挙戦中に聞いた演説で、きわめて印象的だったのが、兵庫2区の赤羽かずよし候補が「与野党の対立軸が政策的には見えにくいというが、政党政治家の態度という面でいうと、あまりにも明確に違う」と言っていたことだ。彼は、福島の原発現地対策本部長を2年間にわたって懸命に取り組み、大変な評価を得たが、なんと民主党政権時代にはそのポジションに10人を超える人間が入れ代わり立ち替わり就いたという。酷いのにいたってはついに現地に足を運ばない現地対策本部長もいたというのだ。ここまでとは私も知らなかった。赤羽氏は、「震災復興に真面目に立ち向かう与党か不真面目でいい加減な民主党など野党か」の対立軸があったというのである。いい加減な民主党政権時代の実態に改めて怒りを覚えた。これは一例だが、民主党には野党第一党としての資格がないということに尽きる▼今回の選挙の結果、公明党はなぜ与党に加わっているのか、これだけ巨大な自民党なのだから、もう連立せずともいいのではないかと問う人もいよう。しかし、参議院では与野党の伯仲状況が続いている。質の面だけではなく、量の面でも公明党の存在は欠かせないのである。私は、公明党がいるから、だらしない野党であっても、自民党政治の暴走にブレーキをかけ、悪いところはチェックすることが出来ると確信している。しかし、本来の民主政治にあっては、健全な二大政党、政治勢力がある程度交互に政権を担うことが望ましいとされる。いわゆる政権交代可能な政治システムを確立させようという観点から、今の選挙制度も導入されたはずだ。しかし、当面は今の民主党、維新の党、共産党などの野党に、もう一つの大きな勢力を作れといっても無理だという他ない。「早く生い立て民主党」などと寝ぼけたことを言っても(私自身がかつて言っていた)追いつかないのだ。国の内外で待ったなしの政治課題が山積しているのに、「自前で再建か他野党との再編か」で、これからゴタゴタが続くのだ。ならば、公明党がその代替役をするしかないといえよう▼戦後日本の政治の歴史は、自社両党の不毛の対立(表でぶつかり裏で取引するというもの)の残影が根強い。しかし、与野党の間で、対立するばかりで何も生みださないということでは国民があまりにも不幸だ。裏では壮絶な議論の戦いを経てしっかりとした合意を形成し、表ではそれを粛々と実行するという姿が望ましい。これこそ自公の政治である。来年の5月ごろには集団的自衛権にまつわる閣議決定の法制化の作業が始まる。ここでは、公明党が憲法9条の枠内で出来ることに限定した法整備を進めうるかどうかが最大の焦点なる。集団的自衛権の全面容認への未練を持ち、9条の枠を壊したい自民党との戦いが待っている。また、憲法改正も早晩日程に上がってこよう。9条の改悪などではなく、あくまで、環境権など多くの国民や与野党の合意を得やすいテーマを加えていく加憲を実施することから着手する必要性がある。これも大変な戦いを強いられる。自民党内に反対論が根強い消費税の「軽減税率」導入も実現するはずと思いこむのは危険だ。空理空論を弄んだり、反対だけが実績の既成野党には、巨大与党の自民党との間に意味ある議論を集中させることが出来るだろうか。かっこよく大言壮語は出来ても、合意を形成することなど到底期待できそうにないのである。(2014・12・17)

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