【97】泉明石市長の行き過ぎた政策宣伝に異議あり━━2023明石市長選を前に(下)/3-16

 昨年6月7日の参議院内閣委員会。「子育て政策」の参考人として呼ばれた泉房穂明石市長は、15分ほどの陳述時間を独特の甲高い声で喋りまくった。ユーチューブで見ると驚く。数多の参考人の発言を過去に聞いてきたが、これほどの声量で捲し立てた人の記憶は殆どない。ただし、その中身たるや、「明石でやってる政策は世界のグローバルスタンダード。やってないのは日本だけ」との非難混じりの自慢話に聞こえる。こうした話を見聞きすると、明石への流入人口が増えているというのも分かる。と同時に、周辺の自治体の迷惑は察するに余りある。そう思っていたら、隣接する加古川市の岡田康裕市長がたまりかねたかのように非難の声を上げた。『まちの好循環──泉明石市長の発信の仕方に疑問』と題するインタビュー記事が神戸新聞に掲載(1月27日付け)されたのである◆ここで岡田氏は、「数字のマジック」によって、いかに実態と違う姿を泉氏が見せかけているかのカラクリの一端を暴いていた。一つは、泉氏が2020年度までの8年間に市民所得税、固定資産税、都市計画税の3税が40億円増えたとしているが、実際には17億円の事業所税(20年度)が含まれており、それを差し引くと、全国平均の23億円に過ぎない。二つめは、貯金にあたる基金残高も、この10年間で42億円増えたというが、市有地の売却益(JT工場跡地の31億円)が殆どを占めており、人口増によるものではない。三つ目は、公園や病院の数について、隣接市と人口当たりでなく、面積比で比べているのは、面積で小さな明石にとり優位なのは当たり前だと。こうした誤解を招く数字を表に、他市を傷つけるのは我慢出来ないと、している◆我のみ尊しとする泉市長の論法に辟易するのは隣接市だけではない。膝下の明石市議会も同様である。子育て政策をむしろ牽引してきたと自負する公明党議員団などの反発は当然だろう。自身の傍若無人さを棚上げし、悉く議会に邪魔をされたかのごとき言い振りには大いに異論あり、に違いない。議会を相手にせず、直接市民大衆に語りかけるパターンはいわゆるポピュリズム的行動様式といえよう。コロナ禍、ウクライナ戦争による生活不安に悩む人びとにとって、財政基盤の後先を考えぬ大盤振る舞いであっても良しとする空気は根強い◆泉市長は、市長を辞めた後も自身の進めてきた政策展開を、他の地域に広げたいと意欲を燃やしている。つい先ほど出版された『社会の変え方』の帯には、「日本の政治をあきらめていたすべての人へ」と触れ込む。内容は自伝の趣きもあり、次の段階に向けての宣言書のようにもうかがえる。さらに近く『政治はケンカだ!明石市長の12年』も。こうした動きには、明石に住むものとして、首を傾げざるを得ない。果たしてこの市は泉市長の12年で変わったのか、と。同氏の自己過信に対して、「社会の変え方」を説く前に「自分の変え方」を考えるべしと、いいたい。(終わり 2023-3-16)

 

 

 

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