はじめに
これから数年かけて私は自分の生まれた年から、今に至るまでの歴史を辿って行きたいと思います。つまり、時代の変遷を追う中で、自分がどう生きてきたかを可能な限り時代状況に合わせながら、かつ忠実に追っていきたいと思っています。なぜそんなことをするのでしょうか。一つは、自分の生きてきた証を時代の中で刻印したいとの願望です。永遠の生命を覚知することを目標にして生きてきた私ですが、この姿形、この人となりで生きてきた自分は死ねばひとたびは終わりです。であるがゆえに、拙いものではあっても自分のこれまで生きてきた生命の在りようを残しておきたいとの切なる思いがあります。もう一つは、かけがえのない生命を授かって生きてきたこの歳月は、まさに奇跡といってよく、その軌跡を残したいとの思いです。昨年、写真家の安藤誠さんが現代人は自分の生が日常の奇跡の連続だということの自覚がないという意味のことを言っているのを直接聞きました。動物たちと対話をし、その一瞬を捉えて映像にしてきた人だけあって、借り物やまがい物を拒否する峻厳さがその佇まいには漂っていました。私も自分の「奇跡の軌跡」を残したいと思います。以上、どこまでうまく表現出来るか分かりませんが、これからゆっくりと書き記していきます。(2019-1-2)