高田屋嘉兵衛に学ぶ「北前船フォーラムin淡路島」での出会い

高田屋嘉兵衛ー司馬遼太郎の小説が好きな人なら誰しも知っているに違いないでしょう。『菜の花の沖』の主人公で、江戸時代後期に廻船業を営み、北前船航路で活躍した人物です。日本海沿岸の港を結びながら大坂(大阪)と蝦夷地(北海道)の間を行きかい、様々な物資を売りさばき大をなしました。この北前船が運んだものは単なる地域の名産だけではなく、各地の文化の相互交流にも大いなる貢献をしたことは想像に難くありません。この偉大な業績に刺激を受け、往事を偲びつつ、現代の地域おこしに活用しようという試みが、ほぼ10年前から秋田の地で始まりました。「北前船フォーラム」というタイトルのもと、これまで18回にわたって北前船の寄港地で開かれ(第一回は山形県酒田市)て、各地の振興発展に寄与してきたのですが、それがついに兵庫県淡路島にやってきました▼第19回「北前船フォーラムin淡路島」は、高田屋嘉兵衛の生誕の地(現・洲本市五色町)にほど近いホテルで11日、12日と行われ、私も出席してきました。このフォーラムの存在は実は発足当時から良く知っていました。というのも、立ち上げに尽力した発起人複数が以前からの友人だったからです。一人は代表の石川好(作家)さん、もう一人は相談役の浅見茂(創価学会元男子部長)さんです。この二人は石川さんが秋田県のある大学の学長に就任した時に知り合い、意気投合したと聞きます。私は『ストロベリーロード』で世に華々しく登場した若き日の石川さんを、雑誌『公明』誌上で取り上げるために取材して以来の付き合い。浅見さんとはかつて創価学会第一次青年部訪中団のメンバーとして一緒に訪中した仲間です。加えて慶大時代の同級生・梶明彦氏(元日航取締役)が副会長として名を連ねているということもあって、注目せざるを得ない団体でした。しかも「瀬戸内海島めぐり協会」の一員として、私はこの地の観光振興に役立とうと立ち上がってるときだから、不思議と云えば不思議です▼前夜祭は実に楽しいものでした。圧巻は淡路島の人形浄瑠璃公演と徳島阿波踊りの協演でした。単なる踊りだけではなく、人形浄瑠璃の人形を押し立てての阿波踊りには居並ぶもの皆が感動しました。また当日のフォーラムは二部形式で、前半は「航路としての瀬戸内海」と題して、田辺眞人(園田学園女子大名誉教授)氏が基調講演。その後、三好正文(神戸新聞パートセンター長)氏や木下学(淡路島観光協会副会長)氏らのパネルディスカッション「観光振興と地域創生~高田屋嘉兵衛のフロンティア精神に学ぶ」。これまで、淡路島の地域おこしには少し悲観的になっていた私ですが、木下氏の意欲満々の発言にいささか胸をなでおろした次第です。また、高田屋嘉兵衛に心酔する佐々木吉夫という博多の84歳の経営者のひたぶるな生き様には深い敬意を抱いた次第です。また二部は、瀬戸内観光とクルーズについて、国交省の水嶋智さん(鉄道局次長)のコーディネートによるディスカッションで、JTB、ベネッセ、JR西日本、ANA、JALといった観光に関わる大企業経営体の専門家の発信力は見事という他ありませんでした。以前に国交省に太田国交相を訪ね、淡路島海域問題で要請した際に港湾関係の部署の課長だった水嶋さんとは初めて会いました。別れ際にいかに「北前船フォーラム」が地域創生に意欲的な団体かを熱心に語っていました。あれから5年近い歳月を経ても、彼は微動だにせずこのグループを支援しています。その役人魂のブレのなさに感動を新たにしました▼私が今密かに仲間たちと構想を温めている「大阪湾周遊クルーズ」は、この「北前船」の入口であり、出口に位置するものです。ほぼ200年前に高田屋嘉兵衛が壮大な交易に身を捧げたこの海域に、今度はインバウンドの海外の客たちを送り込もうという試み。世界の人々との文化交流にどう役立てるか、あれこれと構想を思い描くうえにうってつけの機会を得ることが出来ました。昔懐かしい仲間たちとの旧交を温めながらの楽しい語らいと学びの時間の短かったこと。持つべきは過去から未来へと続く友だと心から思い知りました。(2017・5・13)

Leave a comment

Your email address will not be published.

*