先日、公明党の参議院議員である高橋光男さんの講演会に友人と共に参加した。姫路駅前の日航ホテルに数百人の人々が来られて、盛会だった。国会議員を辞めて12年が経つ私にとって、様々な意味で「考える材料」があった。この日の会合は、会費1万円でバイキング風の飲食を伴う形式で行われた。コロナ禍、「政治とカネ」問題で、公私共にしばらく遠ざかっていた政治家のパーティーだけに、意義深いものを感じた。
●後輩政治家を叱咤激励
まず来賓の挨拶で感じたことから。自民党所属の元大臣の挨拶については、彼なりの衆院選の総括が聞けるものと期待したが、全く触れられなかった。加えて公明党から支援を頂いたおかげだと言うような謙虚さも感じられなかった。発言の中で、立憲民主党や維新は「大嫌いだ」との表現を用いていたのは、いただけなかった。政治家としての見識や節度を感じさせる微妙な言い回しが欲しかったのだが、配慮が感じられなかった。この辺り、彼の降壇後に直接指摘しておいた。他党批判はもっと気をつけて発言した方がいいよ、と。
いいところをいっぱい持った優秀な後輩政治家だけに、現役時代からガンガン物申してきた間柄だ。彼の長所は人の話を聴く耳を持っているところだろう。翌日早速電話がかかってきた。私の方からも失礼な物言いになってしまったと詫びた上で、「彼は昔の彼ならず」(この場合の彼とは私のことを指す)だからね、と述べた。君は昔のままだねと皮肉を込めたわけではないけれど、もっと、自民党批判を聞きたかった旨のコメントを添えた。私はあれこれと持論を述べて、「分かってくれる?」と訊くと、「少しだけは」との反応だった。
もう1人の来賓は、姫路南部地域の介護福祉にまつわる企業のトップを長年務めておられ、私の現役時代からずっと公明党支援をしてくださっている方だった。高橋光男議員のこれまでの6年間がいかに大衆に寄り添ったものであるかについて具体的な実例を挙げて褒めて頂いた。その上、開会前に控室で昔話をしたこともあって、きちっと私のことにも触れて頂いたことには恐縮した。こういう支援者のお陰で公明党はあるのだと思い知ったしだいである。
飛び入りで挨拶に立った歌手の山本リンダさん(上の写真右)は、過ぎ去りし歳月を感じさせぬ若々しさで、持ち前の熱っぽい支援の弁を語りまくられたのには「困っちゃう」ほどだった。かつて、私の応援に大手前公園に駆けつけて来てくれた彼女を前に、私はあいにくの雨模様に一瞬たじろぐ風を見せてしまった。その時彼女は「候補者は雨なんか気にしないでみんなの中に飛び込むのよ」と背中をビシッと叩かれたことを思い出した。
応援に隣県岡山から駆けつけてくれた谷合正明参議院公明党会長(右写真左)は、いわゆる政治家とは思わせぬ、まことに若々しくさわやかで軽やかな話ぶりだった。参議院のトップというと、私のような古くからの公明党を知っている者にとっては、黒柳明、二宮文造といったいにしえの大先輩を思い出す。彼我の差に茫然とすることは禁じ得なかったが、新時代の公明党を感じさせるに十分な振る舞いだった。宴たけなわの合間に、スマホで私とのツーショットを撮ってくれ、翌日のFBに上げていたようだ。これまた昔とは様変わりの風景といえよう。
●後生畏るべしを実感
高橋光男議員は、6年前のデビューの時から一段と磨きがかかってまことに逞しい存在を感じさせた。できたばかりの斉藤代表との連名ポスターを使って政治家としての自分の目標を折り込む話をしたり、自分の話をずらして開宴中にしたことの意義を語るなど〝藝の細やかさ〟を感じさせた。実は私が驚いたのは彼のリーフレットに「中央大学法学部卒」との肩書きがあったことだ。彼は大阪外語大中退(外務省入省のため)だったはずなのに、と訝しく思った。恐らくこの1期6年の間に、通信教育課程に挑戦して取得した学歴に違いない。驚いたのはそのことに全く触れずに演説を終えたことだった。「後生畏るべし」をあらためて実感したしだいである。
この日の会には、私の友人である〝電器商と小説家との二足の草鞋〟を履く、諸井学さんを連れて行った。彼は明年春には『リスボンから』という新刊小説を出すという。リスボンとはポルトガルの首都。ポルトガル語を外交官として操った高橋さんには是非会わせて、紹介したいと思ったからだ。案の定2人の出会いは実り多いものだった。この会には私がお世話になった数多の友人、知人が来られていて、まことに有意義だった。おまけに、帰途に着いた時に、姫路在住でウクライナの専門家である岡部芳彦神戸学院大教授が飛び込んでこられた。これ幸いと、諸井さん共々近くの馴染みのお店に二次会に誘った(写真=右奥が岡部氏。左手前が諸井氏)。
加えてその場に、大学後輩の市役所の若い職員(写真手前右)も呼び出した。テレビでの解説に引っ張りだこの、今をときめく岡部さん。そして、日本古典文学(とりわけ和歌文学)とポストモダン文学の二刀流で売り出し中の地元作家の諸井さん。ふたりの話を私だけが独占せずに、若い人に聞かせたいという私の〝深い先輩心〟に、彼がいたく感激してくれたのはいうまでもない。(2024-12-24)