●電子本「10問10答早わかりシリーズ」を出版
同期の連中との対談は、あたかも私の前半生を振り返るもので、読みようによっては「自叙伝」の趣きがありました。これに気を良くした私が次に考えたのは、現役時代から関わってきた団体について、電子書籍でその実態を紹介するという試みでした。「10問10答早わかりシリーズ」と題して、私自身がQ &A方式で解説したり、各法人のトップとの問答形式というかたちをとったりしました。
例えば、一般財団法人「日本熊森協会」については、『クマと森から日本が見える』と題して、私が解説しました。力作です。一般社団法人「日本カイロプラクターズ協会」は、同協会顧問の村上佳弘さんとの対談で、タイトルはずばり『腰痛はカイロが一番』。38年間悩んだ腰痛を治してくれた恩人との競演です。さらに、『中小企業はこれで蘇る』と銘打ったのは、一般社団法人「AKR共栄会」の河田正興専務理事(当時)との対談。彼は昨年秋にコロナの犠牲になって鬼籍に入ってしまい、これが遺作となりました。それぞれ渾身の力を込めて取り組み、分かりやすく解説していきました。
この3冊に加えてもう一冊ユニークなものがあります。実は、今から10年ほど前のことですが、赤穂市に住む旧友の亀井義明氏から相談に乗って欲しいと言われて関わってきた「坑道ラドン浴」に関するものなのです。その背景には、兵庫県姫路市安富町(かつて富栖村と呼ばれた地域)にある、その昔の金鉱山からでるラドンを活用して、健康に役立つ施設を作ることで、地域振興にも貢献したいとの彼の強い志がありました。
●日本唯一の「坑道ラドン浴」のお手伝い
大量の放射線は人間を死に至らしめますが、微量のそれをピンポイントで患部に照射すると、大いなる効果を発揮するーいわゆる放射線治療は、癌患者などにとってかけがえのないものになることは天下周知の事実です。彼はその放射線が富栖の里の坑道から出ることを知っていらい、自身が経営する会社の業務と並行させながら縦横無尽の活動を展開します。オーストリアの著名なラドン浴の土地であるバドガシュタインを訪れたり、岡山大、熊本大、大阪大を始めとする大学の研究機関などを訪れ、学者、専門家に会って、研鑽を深め協力を要請していきました。
その結果を踏まえた上で、ラドン浴に供する坑道を整備していったのです。私もオープン式典に参加し、その後も度々実際に坑道で寝そべってラドンを浴び、友人、知人にも勧めてきました。当時から今に至る10年の彼の奮闘ぶりを見る時、心底からの感動は否めず、深い敬意の念を抱きます。通常の病院治療で良い結果がでない、医療難民ともいえる多くの人を激励しぬく姿はたとえようもなく尊く思えました。
大阪大名誉教授の中村仁信先生はそうした彼の熱意に共感して、さまざまな角度から支援を惜しまず、協力していただいている学者の一人ですが、この人とコラボすることを考えつきました。『みんな知らない低線量放射線のパワー 日本唯一の坑道ラドン浴 富栖の里』とのタイトルで、私が書いたものを監修していただくことにしたのです。
電子本はまだまだ認知度が低く、手にして下さる人は多くはないでしょうが、世の中に一石を投じた試みを成し得たと自負しています。結局、電子本はここまでで、その後は休刊が続いています。むしろ、紙の本への思いやみがたく、偶然の出会いからある人と共著を出すことになるのですが、それはもう少し先のことです。(2021-3-13 一部修正)
(2021-3-13)