公明党がついに「連立政権離脱」を決断した。10日の党首会談の場で公明党の斉藤鉄夫代表がその判断を自民党の高市早苗総裁に披瀝したことを巡って、驚きの声が日本列島を駆け巡った。ずっと以前から自公連立解消を言い続けてきた身からすると、「やっとか」の思いはするものの、一般的にはどうせ「腰砕け」だろうとの見方があったに違いない。26年もの長きにわたって続いてきた連立をいざ解消するとなると、思いは複雑だからである。だが、賽は投げられた。先日のフジテレビのプライムニュースに出ていた伊吹文明元衆院議長の言うところの「無政府状態」が一段と鮮明になったかもしれない◆1時45分から2時間ほどの党首会談終了後の双方の記者会見を聴いて気付いたことは、自民党という政党がいかに公明党を舐めていたかである。高市自民党総裁は「公明党から一方的に連立離脱を突きつけられた」と言い切った。今日の会合は「決める場ではなかった」とも。持ち帰って党で相談するいとまも与えてくれなかったと不満たらたらだった。少しの想像力があればわかるはずなのに。一方、公明党の斉藤代表はこれまで幾たびも繰り返し、企業団体献金をめぐっての改革を主張してきたのに、自民党は今日も「これから検討する」の一本槍、これでは待ちきれない。時間をこれ以上かけてしまうと、政権発足にかえって迷惑をかけてしまうとの判断を述べていた◆実は僕の想定は、10日に合意が得られずとも、直ぐに離脱を表明せずに少し時間をかけた方がいいと思っていた。それは、自民党に改革への気がなくても、世間に公明党と自民党の考え方の相違を分かって貰うためにはいささかの時間が必要であるとの観点からだった。そうでないと、公明党に「政治の安定」をぶち壊されたとの批判の刃が向けられる。初の女性首相への期待が高まっているのに、公明党が水を差したとの筋違いの攻撃を受けてしまうこともあり得る、と。そう思って結論は「離脱」であっても、少し時間をかけた方がいいと思ったのだ◆加えて、「政治とカネ」だけではなく、もっと根本的な政治姿勢や国家ビジョンにまつわる自公協議の場を作ることも大事なことだと思っていた。もし、「離脱」をしない場合には、そういった条件もつけて今後に含みを持たせることがあってもいいとさえ思っていた。つまり、様々な可能性を想定しながら、今後の政権運営を考えていたのである。私のような「筋金入りの政権離脱論者」でさえ手順が少し早かったと見える。さてこれから、どうなるか。どうするか。自民党は連立を組む相手を探すことになるのだろうが、果たして今のような自民党と組もうという政党が出てくるかどうか、疑問である。公明党は自民党の改革を政権の内側から進めるというチャレンジに結局は失敗したという他ない。もう一度「真正中道主義」の原点に立ち返って「日本政治の再生」に向けての新たな出発に期待したい。(2025-10-10)