●念願のライン川下り果たし満足感に浸る
前年秋にドイツから姫路へとやってきた、元ビンゲン市の女性市長(コーリン・ランゲン氏)との約束を果たす時がやってきました。私の妻は都合がつかず、代わりに寺松輝彦氏(現地在住の木村氏と共通の友人=社員教育指導者)と一緒に9月18日から27日までの欧州旅(フランス、ドイツ、ベルギー三ヶ国8日間、機中2泊)に向かったのです。この旅の最大の目的は、ライン川中流地域に位置するビンゲン市訪問。日本に強い関心を持つ若者との懇談会を始め、豊かな大自然の中で息づくドイツの風景を楽しむことができました。
中でも、ライン川下りは長年私が夢見てきた旅です。その昔、ドイツ文学者の池内紀氏と版画家の山本容子さんの案内による紀行番組をBSテレビで観ていらい、いつか行きたいと思っていました。ゆったりとした川幅の上を爽やかに滑る、船上での感動は今も目に心に身体に焼き付いています。また、日本の国内政治で定着した自公連立政権の実態を聞きたい、という現地の若者の要望に応えて、あれこれと話す機会も楽しいものでした。
●フランスでの旧知の二人の大使との再会
これより先に、成田からフランスに足を踏み入れた際に、真っ先にパリにある大使館を訪問しました。かつて現役時代にお世話になった元外務省官房長の木寺昌人大使(2016-2019)と、当時はユネスコ大使(その後ハンガリー大使)だった佐藤地(くに)さんの二人が相手をしてくれました。佐藤さんは女性として初の局長級ポストである外務報道官に就いた人ですが、ユーモア溢れる才媛です。
木寺さんは中国大使からの横滑り人事で、フランス大使に就任されていました。元々フランス語が専門で、水を得た魚というより、水に馴染む白熊のように活躍されてる最中の訪問となりました。中仏関係の特異さやら、伝統的なフランス人気質など、さまざまなテーマについて話し込みました。3年間の同大使赴任中に私の友人が此の地に次々とお邪魔する度に、あれこれとお骨折りしていただくことになり、感謝に絶えない思いでいっぱいですが、その先陣を切ったのがこの時の私の訪問でした。
●ベルギーでのEU議会訪問に思い新た
最後の訪問先になったベルギーのブリュッセルは、EUヨーロッパ連合の中心地。その本部を訪問し、議場、食堂、議員控室などを具に見学しました。と言いますのも、ビンゲン市のランゲン元市長はその当時、EU議会議員に転身されていて、現役として活躍中だったのです。私たち一行がお邪魔した時には、地元からの陳情客とも鉢合わせになって多忙を極めておられましたが、テキパキと対応してくれたことが印象に残っています。
学者である夫君も途中で加わって、一緒に市内散策の案内をしてくれましたが、得難い思い出になりました。私はビールの旨さは、ドイツでなくベルギーにありとの持論を持つに至っていますが、それはこの時に街角で飲んだフルーティなヒューガルデン・ホワイトに起因します。世界の地ビールの本場ブリュッセルを知って、ビールは喉越しもうまいが、口に含み舌先で味わうのものだとの感を強くしました。スペインのシェリー酒、アイルランドのギネスビール、中国の紹興酒そして日本酒など、アルコールに国柄が現れるというのは面白いものです。(2021-7-27)