【11】仏法を根底にした慈悲の政治ー小説『新・人間革命』第3巻「月氏」の章から考える/6-12

●アショーカ大王の石柱の前での語らい

香港からシンガポール、セイロンを経て、1月31日に一行はインドに入ります。2月1日にはデリーのラージ・ガートに。マハトマ・ガンジーの記念碑前で、お題目を三唱した後に、伸一は深い感慨に包まれました。そして112頁から122頁まで10頁にわたって、「ガンジーの休みなき戦い」に触れられています。ガンジーと戸田先生に共通する戦いについて述べたあと、伸一は「歴史上、誰もやったことがない。やろうともしなかった。その広宣流布の道を行くことは、ガンジーの精神を継承することにもなるはず」と強調されているのです。強いインパクトをうけます。

その後のアショーカ大王の法勅を刻んだ石柱の前での語らいは、122頁から20頁に及び、極めて重要な中身を含んでいると思われます。そのテーマは、「仏法を根底にした慈悲の政治とはどういうものか」ということです。

「仏法の慈悲を理念とするなら、多くの新しい着眼点が見出され、新しい政策が創造されるはず」として、伸一は、①社会的に弱い立場の人を守ろうとすること②一人ひとりの生活を豊かにする人間優先の政策③生命の尊厳を守り、確かな平和を実現すること④人類益の探求という発想を確立していくことーなどを目標に挙げています。これらが、その後4年ほど経って公明党の理念と政策の中に取り入れられていったのです。(125頁)

結党(昭和39年、1964年)から30年余。自民党政治の改革を外から試みることの困難さを味わった公明党は、21世紀に入って直ぐ自民党からの要請を受けて、連立政治に参画し、内側からの改革に着手することに方針を転換しました。いらい20年余が経ちます。この間、様々な紆余曲折がありましたが、仏法の慈悲を根底におく政治に執心してきたことはいうまでもありません。ただ、未だ改革の道は終わらず、途上にあるのです。与党にあっても、原点を忘れずに初心貫徹に邁進していくことにどこまでも期待したいと思います。

その際に、連立政治の組合せ相手を、未来永劫変わらず固定して考えてはならないと思います。自民党が公明党の原点に照らして不都合な存在であるなら、変えていくことも辞せず、です。手を替え品を替えてでも、国民大衆のための政治を実現するのが公明党の本旨のはずだからです。民主主義の政治の基本のひとつは、政権交代が可能かどうかにあります。公明党のスタートにはその実現に熱い思いがあったことを私は忘れません。(2021-6-12)

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