【45】人に光を与える仕事ー小説『新・人間革命』第11巻「開墾」の章から考える/12-17

●ペルー・リマで示された三つの要諦

「人間がなしうる最も素晴らしいことは人に光を与える仕事である」(南米解放の父・シモン・ボリバル)ーこの印象的な言葉で始まる章の「時」は、1966年(昭和41年)3月。「舞台」は、ペルー。そしてアルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ドミニカへと移っていきます。今から半世紀よりもっと前に、中南米各地に伸一一行は、光を与えて行くのですが、その闘いの一部始終は読むものをして深い感動に誘います。

 「人がどうあれ、自分が広宣流布のために苦労し、働いた分は、すべて自身の功徳となり、福運なっていくのが仏法です。人の目はごまかすことができても、峻厳な仏法の因果の理法は、絶対にごまかせない」ーリマのホテルに集まった「先駆けの友」を前に、伸一は、人生の大勝利者になるための三つの要諦を語っていくのです。(137-141頁)

 第一はお題目。「嬉しい時も、悲しい時も、善きにつけ、悪しきにつけ、何があっても、ただひたすら、題目を唱え抜いていくことです。これが幸福の直道です」第二の要諦は教学。「その仰せを信じて、心を定め、御文のままに精進していく。そうすれば、〝まさにその通りだ!〟と、実感し、御本尊への大確信をもつことができる」。第三の要諦は信心の持続。「人生、最後が大事です。一時期は、どんなに頑張っていようが、やがて、信心から離れ、学会から離れていってしまうならば、なんにもならない」

 「一言一言、メンバーの生命の奥深く、開墾のクワを振るう思いで、全力を注いでの指導であった」ーこのくだりを読み、まさに今から56年前(昭和43年4月26日)に池田先生にお会いし、直接頂いた指導を思い起こします。肺結核に悩んでいた私に、「お題目だよ、いまこの瞬間から百万遍の題目を決意するんだ。必ず治る。百万遍でダメだったら、また百万遍と、治るまで続けるんだ。大丈夫だ」と。このご指導を胸に、『このやまひは仏の御はからひか・そのゆへは浄名経・涅槃経には病ある人仏になるべきよしとかれて候、病によりて道心はをこり候なり』(妙心尼御前御返事1480頁)の一節を身で読むべく、来る日も来る日も頑張りました。そして、医者が驚く結果が出たのが5カ月後。その報告を同年10月8日に再び先生にお会いできた日にしたのです。

 「人生、最後が大事」ーちょうど2030年の創立100周年まで10年という時点と、私が後期高齢者の仲間入りした時とが重なります。85歳へのカウントダウンが始まりました。既に1年が経過。どんなゴールを迎えられるか。「人に光を与える仕事」のたとえ真似事でもせねばと、〝逆転大勝利〟を深く期しているところです。

●アルゼンチンの苦闘の27年と栄光の今

 伸一のブラジル訪問とは別に、少し先行して春木征一郎ら幹部がアルゼンチンを訪れていました。ほぼ同時並行の南米指導でしたが、伸一の姿が見えないブエノスアイレスの会合を担当した春木は、全魂を込めて失望する同志の激励にあたります。「今日はアルゼンチンの新しい出発の日です。生きるということは、歴史を創るということです。それぞれが、自身の幸福とアルゼンチンの広布の新しい歴史を、創っていこうではありませんか!」との言葉に「魂の閃光が闇を破るような、誓いの拍手が轟いた」と、表現されています。(166頁)

    春木征一郎のモデルは元プロ野球・東急セネタースの白木義一郎投手です。関西のあの歴史を作った昭和31年の参議院選挙の候補者でもありました。関西創価学会の最高責任者として、全地域の津々浦々まで足を運び、また手紙や葉書を書いて激励されました。その足跡の凄さは今なお語り継がれています。私はつい先日、兵庫県の北西端・美方郡のT元女性町議と兵庫県の議員OB会で会いました。彼女も入信当初に白木さんから受けた激励が忘れられないと語っていました。常勝関西の礎を創った凄い大先輩を心底から誇りに思います。

 アルゼンチンに伸一が初訪問するのは1993年(平成5年)のことで、この時より27年後。かくも長き間、待ち望んだ人たちの心情が思いやられます。その間、伸一は「アルゼンチン大学関係者や芸術家、駐日大使、また大統領と会見するなど、日亜両国の友好と教育・文化交流に全力を注いできた」のです。また、春木も同志たちに真心こもった激励の手紙を送り続けたに違いありません。

 「1990年(平成2年)には、アルゼンチン政府から、最高栄誉の一つである『大十字五月勲章』が山本伸一に贈られ、各大学からの顕彰も相次ぐことになる」とあります。ちょうどそのくだりを読んだ折、聖教新聞(12月9日付け)一面を見ました。ブエノスアイレス市から、創価学会の教育・平和推進への多大な功績をたたえる顕彰状が贈呈されたとの報道がなされていたのです。(2021-12-16)

 

 

 

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