【25】反転攻勢への道は決断一つー小説『新・人間革命』第6巻「加速」の章から考える/8-23

◆御書講義への取り組み方

昭和37年2月27日、中東訪問から帰った伸一は、各地で渾身の御書講義を展開して、弘教を加速する原動力の姿を示していきます。

「彼は、その講義に全魂をかたむけ、真剣勝負で臨んだ。講義が終わると、体中の力が抜けてしまったように感じられることもしばしばあった。(中略)講義で強調すべきポイントは何かを考え、皆がより明快に理解できるよう、どこでいかなる譬えやエピソードを引くかにも心を配った」(196頁)

このように、懸命の準備を、「強い祈りのこもった唱題」と共にしている場面を読むにつけ、私は、自分が入会した時のI地区部長の御書講義の確信漲る姿を思い起こします。昭和40年杉並区の座談会場は決して立派な家でなく、むしろ薄汚れた感がせぬでもないところでした。しかし、同地区部長の明確で確信溢れた講義は今もなお耳朶に残っています。私も、その後、青年部幹部として、懸命に御書講義に取り組みました。ですが、人々の心を打ったか、明快だったかどうか、心もとないものがあります。今の各地区で行われている講義が、単なる読み合わせに終わっていないかどうか。これもいささか気になります。

それにつけても、この章の冒頭に描かれる福岡市博多港周辺の〝ドカン〟と呼ばれる地域の光景こそ、創価学会の日常の一つの原点だと思います。私が信仰の原点を培わせていただいたお家も、今思い返せば、かけがえのない生命錬磨の道場だったなあと、有難い思いでいっぱいになります。(165頁~190頁)

教学部の幹部に対して「広宣流布のいっさいの責任を担う自覚をもっていただきたい」との言葉に始まる重要な指摘があります。(192〜193頁)私はかつて高等部の人材育成グループ「藍青会」(東京二期生、三期生)の副担当をさせていただきました。その時の正担当が時の教学部長でした。後にこの人は退転し、創価学会に敵対するのです。であるがゆえに、私は断じて学会の正義を守り伝える役割を果たさんものと、強く決意しました。この時の高校生の中から多くの逸材が各界各分野で羽ばたいていることは大きな誇りです。

◆最も真面目で誠実な宗教団体

4月15日に、北海道本部での地区部長会に出席した伸一は、「北条時宗への御状」の講義を行います。(212〜216頁)その中で、ある政界の指導者に語った言葉が登場します。

「私たちは、政治を支配するなどといった考えで、同志を政界に送り出したのではありません。学会の目的は、どこまでも民衆の幸福と、世界の平和にあります。そのために、日々、心を砕き、行動している。最も真面目で誠実な宗教団体が創価学会です」(213〜214頁)

この時から約60年。今日本も、そして世界もまさに危機に瀕しているとの見方があります。コロナ禍で各国は右往左往するばかり。地球環境は荒廃の一途を辿りゆく状況下に、自国中心主義の横行と分断の進行は止まることを知らない、と。これをどう見るか。創価学会、SG Iの存在があり、公明党も与党にいながら、と悲観視し、成り行き任せにするか。それとも「真面目で誠実な創価学会」あらばこそ、と、近未来における事態の好転を確信して、自身の出来ることから着手するか。どちらに行くかは、我々の決断一つだと思います。(2001-8-24)

 

 

 

 

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