【54】離島での壮絶な戦いー小説『新・人間革命』第13巻「光城」の章から考える/2-8

●奄美大島での反学会の動きとの戦い

   鹿児島と沖縄のほぼ中間に横たわる奄美大島は、日本の中で有数の創価学会員の占有率が高い上、公明党の選挙でも群を抜いて得票率が高いとされます。ただ、これは苦難の歴史の末の結果です。この章は、独立した短編社会小説のように、反学会の動きに徹して戦った地元学会員の壮絶な姿が描かれています。(199-268頁)

   創価学会を排斥せよというデモが起こり、島中が沸き立つ迫害事件に発展したのは1964年(昭和39年)初夏のこと。5年ぶり2度目の伸一の奄美訪問の際(昭和43年11月)に回顧されます。発端は、学会が県議選で支援した公明党の候補者が当選し、この村の出身である候補者が落選したことでした。選挙をめぐるいざこざが燻って、やがて大きな火事のように広がっていったのですが、その大もとは地元有力者たちが創価学会の本質を見誤っていたことにありました。

 座談会場での酔漢の狼藉やら村の公民館での緊急集会での小競り合い。学会員締め出しの動き。村八分の展開が次々とリアルに描かれて、やがてデモの現場での衝突場面がピークとなります。人情に厚く一本気な男子部班長の天竜和夫と、彼の軽挙妄動が暴力沙汰になることを恐れた妻エリ子。この夫婦の演じた修羅場での葛藤は息を呑む展開です。

 「あんた、どんなに腹が立っても、絶対に手を出しちゃだめよ」「もし手出しをすれば、学会に迷惑がかかるんだからね。何があっても堪えるのよ」「ああ‥‥」「もし、どうしても、どうしても、我慢できなくなったら、私を殴って!」ーこの描写の後、デモ現場での言い合いに移ります。

 「君らは公明党、公明党と別の集落の人間を担ぐ。なんで地元が送り出そうとする代表を落とそうとする」「私たちは政治をよくしようと頑張ってるだけ。何も悪いことはしていない。なのに、どうしてこんな卑劣なまねをする」「何を言うか!この〝貧乏たれ〟が!」「〝貧乏たれ〟で結構だ!」「だいたい、〝貧乏たれ〟が集まって、ホーレンゲキョーで何が変わるか。学会にはまともなもんなど、おらんだろ」

 【天竜は、拳を握りしめていた。自分のことなら我慢もできた。しかし、学会のことを、ここまで言われると、もう堪えることはできなかった。「あんたダメよ!絶対ダメよ。殴るなら、私を殴るのよ!」エリ子が叫んだ。有力者の顔に怯えが走った。「この野郎!」天竜和夫の拳が風を切った。】〝すまん〟心で詫びる和夫と、痛みを堪えながらも約束を守ってくれた夫に嬉しさを感じるエリ子。ーこの場面は読む者をして興奮のるつぼに巻き込みます。

【知らざるがゆえの誤解に基づく弾圧ーそれがこの奄美の事件であるというのが、山本伸一の結論であった】ー現地の報告を受けた上で、事態打開へのきめ細かな手が打たれていきます。問題の根本的解決にむけての考え方は「地域の一人ひとりに対して、学会の真実を教え、誤解を解きほぐしていく以外にない。(中略) 戦いとは分断ではない。地域の発展ために結び合うことだ」というものでした。

 ここから始まって「21世紀の奄美は、見事に、日本の広宣流布の先駆となり、まばゆいばかりの希望の光城となった」のです。全国各地で奄美に似たケースがその後起こりました。兵庫県の家島、坊勢島でも村八分にあいながら歯を食いしばって頑張ってきた同志たちの汗と涙の結晶が今に燦然と輝いています。また、私が自治会長を務めた姫路市の新在家地区界隈でも、草創期には様々な軋轢がありました。

 現状は決して楽観を許しません。どの地でも、かつての様な分断は回避されていますが、根本的に問題が解決したとは言い難いものがあります。しかし、局面が変わったことは間違いなく、地域発展のために、創価学会メンバーが自治会活動に取り組むことが大事だと痛感しています。戦い、未だ終わらず。ここでも連続闘争が必要と実感します。

●芸術部の皆さんと先生との絆から学ぶ

 1968年(昭和43年)秋は、芸術祭が各方面で開催されていきます。ここでは芸術部の戦いが幾つもの角度から語られていきます。その礎となってきた人気歌手・幸山エリカの信仰体験と、アメリカで活躍していた著名な歌手・月村ますみとの出会いから折伏に至る経緯は、未知の世界に目覚めさせられる思いがして、とても新鮮な印象を受けます。(278-292頁)

   芸術部の皆さんの支援を公明党の議員は、時に有難いことに受けることができます。私も中選挙区に挑戦した二度の選挙が屈指の超激戦区だったので、大いなる恩恵を受けることができました。日本中の誰もが知ってる女優さんと姫路・御幸通を練り歩いたり、著名な女性歌手と遊説に宣伝カーで回ったことなど思い出します。その都度、彼女たち一人ひとりの池田先生との強い絆と広宣流布への厚き思いが伺え、感動を新たにしました。(2022-2-8)

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