リアルなき無惨な救済策ー森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』を読む

今年から読書録は短くしたい。これまで2000字ほどだったが、長すぎて読めないとの不評もあり、グッと縮める。新年のトップは森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』を。この本は21世紀を迎える直前に書かれた。2050年に照準を合わせて、ズバリ没落すると予言している。とっくに読んだ人も多かろうが、20年経って予言の正否を振り返るのも面白い▼没落の理由は、精神、金融、産業、教育の荒廃にあるとしており、いちいちごもっともと思わせる。とりわけ手厳しいのは政治家に対して。これは全く正鵠を射ており、ぐうの音も出ない。ただ、この本の鋭いところは、ここまで(荒廃の因をたどる作業は得難い)。残念ながら、ではどうするかという処方箋と、その見立てが全くいい加減と言わざるを得ないほどの出来具合だ▼ただ一つの救済策として、「東北アジア共同体」案をあげているものの、その理由の一つとして「日本人はもっと中国の江沢民主席や韓国の金大中大統領を信頼すべきだ」としているくだりには呆れ果てる。 「江沢民の13年」と言われる反日教育の元祖や、今の文在寅大統領の容北政策の範たる人を、持ち上げているようでは。この構想はかの鳩山由紀夫元首相も掲げていたことを見ても、そのリアルのなさがわかろう。理想と現実の違いがかくほども分かっていない人は珍しい。それにしても、この森嶋さんという人は、英国一辺倒で、その推奨の度合いたるや、これまた呆れるほどだ▼今年頂いた賀状で、大前研一さんが、ご自身、平成のはじめに「平成維新」運動を起こしたもののなすことなく失敗の憂き目を見たことを反省しておられた。だが、その一方で、日本は数百年はズルズル落ちると指摘したことは当たったと誇っておられた。森嶋さんも今健在なら、没落するっていった通りだろうといわれるかも知れぬが、「ただ一つの救済策」とされたものは見るも無惨な結果である。大前さんの「平成維新塾」と森嶋さんの「東北アジア共同体」構想。かくほどまでに日本立て直しは難業であるいう他ない。(2019-1-4)

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