なぜもっと注目されないのかー山口那津男vs田原総一朗『公明党に問うこの国のゆくえ』を読む

「日本の政治の舵を取る 公明党のすべてがわかる!」「当代随一のジャーナリストが政権政党代表に舌鋒鋭く迫る」とのキャッチコピーに惹かれて読んでみた。コロナ禍への対応も入っており、公明党に関する最新の情報が満載されている。読み終えて、こんな凄い闘いをしている党なのに、世にあまり注目されていないのは不可解だと思わざるを得ない。私のような公明党関係者でも新たな気付きが一杯あり、刺激に溢れている。ただ、一重たちいたって深く読むと、少し物足りなさも残る▲まず、山口代表が衆議院選で、自民党公認候補との調整がならず、二度にわたって闘って敗れたことについて。「こんな経験をした者は公明党の歴史の中で私しかいません」と。溢れる悔しさを覆い隠した珍しい発言である。「衆議院選挙で2回落選して、もはや政治生命は絶たれた、と自分でも思いました」ーこの前後の記述には切なくやるせない思いにさせるものがあり、公明党の選挙を経験した者として、まさに正座して読まねばならぬと思った▲全国の地方議員の闘いに触れたところ(第一章)も、改めて公明党の底力の所以を思い知った。また、郵政解散で「新しい時代の風」が起こり、「とにかく風に乗れ」と訴えた場面(第二章)では、知られざる同代表の一面を見て興味深かった。新型コロナウイルス感染症対策で、閣議決定を覆し、10万円給付決定にまで持ち込んだ舞台裏(第三章)は、まさに迫力満点。社会保障政策に関する第五章は、私にとって新しい気付きばかり。「無償化3本柱」の中身、フィンランドに学ぶ子育て支援スタイル、就職氷河期の課題解消策などなど、すべて目から鱗が落ちる思いで、読み進めた。公明新聞紙上でこの対談を細かく分けて掲載をするとか、ユーチューブで発信すべきでないのかと思うことしきりだ▲次に私の最大の関心事を巡っての思いを二つ挙げたい。一つは、安倍自民党の金権政治の象徴として、問題になっている「桜を見る会」について。田原氏が「かつての自民党なら、実力者の誰かが、安倍さん、やめた方がいいよと忠告したはず。ところが、今は誰も言わない」と述べている。それに対して山口代表は「公明党は3、4人しか割り当てられていませんけれどね(笑)。」と発言。ここは「残念ながら背後の事情など知る由もなかった」とか、率直に弁明して欲しかった。田原氏が「そういうときは、やっぱり、公明党が強くいうべきなの」と差し込んでいるのに、同代表は黒川検事長の定年延長問題に関してはきちんと説明すべきだ、とだけ。「桜を見る会」については、公明党も参加せざるを得なかっただろうが、問題点はそれなりに追及すべきだ。一般的には壇上の首相の隣に山口代表が並び、杯をあげているシーンが映像で出てくるたびに、〝自公一体〟が印象付けられ、うんざりしてしまう▲公明党に今一番求められているのは、この国をどういう国にしていくのかというビジョンの提示ではないか。社会保障分野を始め、他党の追従を許さぬほどの政策提案を展開、実績も十分だが、国のあり方の大きな方向性で党独自の視点が見えない。要するに自民党と歩調を合わせる党であるとしか見えてこないのだ。この本の「はじめに」で、田原氏は、「最後に公明党は日本をどのような国にしようとしているのか。山口代表のビジョンをお聞きしたい」と述べている。私もそれに期待した。しかし、ズバリそう聞く場面は出てこない。当然、その答えもない。残念という他ないのである。蛇足だが、本書で活躍に言及されている公明党国会議員は男女2人づつ4人いるが、全て参議院議員。衆議院議員はどうしているのかと余計な心配をしてしまう。(2021-2-20)

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