【26】こんな政治に誰がしたー御厨貴、内田樹他『自民党 失敗の本質』を読む/3-20

自民党の失敗とは何か。8人の論者が次々とその非を打ち鳴らす。昔の自民党はもっとまともだったのに、全く違う政党になってしまったかのようだ、と。昔のこの党を否定し、まともな党にしようと、政権の内側からの改革に取り組んできたはずの公明党。その一員である私にとって、読むのが辛くなった。自民党の今日の姿に、公明党の責任はないのか。失敗を言い募る人たちに失敗はないのか。次々と異なった疑問が湧いてきた。歌の文句じゃないけれど、こんな党に誰がした?ー読まずともわかるなんて言わないで、読んで見てください。以下、ほんのさわりを気がつくままに◆8人のうち、自民党代議士が石破茂、村上誠一郎両氏、そして現在は立憲民主党の小沢一郎氏。石破氏は「言語空間」の機能不全が脆弱化の因だとする。彼は自民党を出て、私と同じ新進党に所属していた。復党して幹事長にもなり、幾たびか総裁選にも出た。その都度励ましたものだ。村上氏も自由闊達な議論がなくなりつつあると嘆く。自民党内クリーン派閥の三木・河本派に所属した。この人には〝一匹狼〟でなく、多数派工作をして仲間を募って総裁の座を狙えとけしかけた。小沢氏は信念を語る政治家が消えた、と。かつて私の記者、政治家としての仕事上の大先輩・市川雄一氏と共に、様々な場面でご一緒した。自民党をぶっ壊すと言った首相と共に、自民党を今のようにした張本人は実はこの人かもしれないと、私は思ってきた◆学者が2人。政治学者の御厨貴氏と思想家の内田樹氏である。共に現役時代に一度だけだがじっくり話したことがある。前者とは、放送大学で「権力の館」という講座を受講した。戦前戦後の政治家達の住まいからその人物像を炙り出す狙いのもので、面白かった。後者とは、合気道を学び損ね、挫折した私が座学での教えを乞うたものだ。「今からでも遅くない。もう一度挑戦されたら」とけしかけられた。御厨氏は「安倍さんが再選された時から時計の針は止まっています」という。愕然とする表現だ。内田氏も安倍再選後の9年で、「株式会社化した自民党」にはイエスマンしかいなくなった、と強烈だ。御厨氏は「共産党は勉強しています」し、「(共産党は)常に党内で学びを共有しています」と強調している。そういえば先の講座で、同党本部内の図書館風の場所を見た際の衝撃を思い出した。内田氏の「立憲民主党はふらふらしてどうも信用しきれないと批判する人がいますけれど、立憲民主党は『ふらふらする政党』なんですよ。それが持ち味なんだから」の発言には笑えた。学者らしい持ち味の言いぶりに妙に納得する◆笑えないのが、この本に一切公明党の話が出てこないことである。どこに出てくるか期待しながら読み進めた(他には元官僚2人と新聞記者)が、最後まで遂に出てこなかった。寂しいことこの上ない。維新、国民民主党もちょっぴり登場するし、令和新選組の代表さえも。平成の30年を総括する一連の試みに、私が見た限り、全く公明党がスルーされている。これに大いに異議を唱えている私としては、見過ごせない。自民党がこんな体たらくになって、連立パートナーの公明党は喜ぶべきか。悲しむべきか。私は「55年体制」打破に青春をかけ、一転政治家になった中年以降には「自民党を変えること」に執念を燃やした。複雑な思いだ。この本を読み終えていま、「自民党の失敗」でなく、「日本の政治の失敗」ではないのか、と疑問は広がる。ただただ、暗然とするしかない。(2022-3-20)

 

 

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