一日五回の感動と笑いで健康長寿をゲットー高柳和江『笑医力』を読む

このところ朝起きるのが楽しみだ。早朝のランニングをして、仕事に出かけるという、いわゆる今日用(教養ではなく、今日用事があること)と今日行(教育ではなく、今日行くところがあること)に満たされているということだからではない。一日に五回感動して、五回笑おうという自らに課したテーマが起き抜けに証明されるからだ。床についてから目を覚ますまで一度もトイレに行かずにいた、なんて朝イチバンの感動だ(70歳ともなろうとすると、どうしても、ね)。今朝なんてホッとするやら喜ぶやら大変だった。手術するしかないね、といわれてたのが、夢の中のことと分かって。しかもその医者たるや、まったくその世界と関係のない友人だった。ひとしきりベッドの中で一人笑った。こうした寝起きから寝床につくまでの感動メモをノートに記すってことは、やがて大きな体験に繋がるに違いない▼こうしたことをするようになったのは、言わずと知れた笑医塾塾長の高柳和江女史の強い影響による。これまでもしばしば書いてきたように彼女は私の高校の同窓生。『笑いが命を洗います』ってタイトルの電子書籍も、一緒に昨年出版した。心から尊敬する偉大な医師だ。その彼女がまたしてもすごい本を書いた。『笑医力』だ。びっくりするほど健康になるという副題つき。「読書感想文書いてね」って彼女が言うので、「違うよ。読書録なら書くよ」と、小さな反発をしてから数か月が経ってしまった。ありきたりの書評はいやだと思ってるうちに、毎日の笑いと感動をメモってると、日々の充実とはこういうことかと思うようになったのである▼朝のトイレチェックの感動を皮切りに、ある一日の5つを紹介しよう。二つ目は、長い間行方を捜していた書類が書斎を整理しているうちに突然出てきた。これは嬉しかった。三つめ。坊勢島に魚を食べに行こうと言っていた友人が、胃の調子が突然におかしいので医者に行くと言い出してキャンセルになってしまった。既に胃の大半をなくしている男だけに心配だった。だが、検査結果は大丈夫だったとの電話があり、わがことのように喜べた。四つ目。新聞を読んでると、近所の市場の菓子屋さんの店主がミラノ万博に出品するという。日本文化の世界への発信に繋がる慶事だけに喜んだ。最後は、安保法制をめぐって、「集団的自衛権」の賛否が民主党や維新の党内で分かれているという記事を発見したこと。これは夜の政治向きの会合で話すネタが出来た、とちょっぴり嬉しくなった▼こういう風に「感動」はそれなりにするものだが、本格的な笑いとなると結構難しいように思われる。高柳先生も、書いている。「最近、一緒にのけぞって大笑いした92歳の男性は、90年ぶりに笑った」って。ったく、笑わせてくれる。実際、どこにも笑う材料は転がってるのかも。彼女も「おやじギャグがきっかけに」と勧めている。私はもともと自分の本のタイトルに『忙中本あり』とつけてみたり、電子書籍の題名に『六〇の知恵習い』とか、ブログのタイトルに『後の祭り回走記』などと、ダジャレ風の、ものいいが好きだ。しばしば連発して周りからひんしゅくを買っているので、そろそろ卒業したいのだが一向に収まらない。それどころか、つい最近も、自分の出版予定の本のタイトルを『現代 古希ン若衆』にしようと思ってるぐらいだから懲りてはいない▼「常識をうち破る人たち」の章が印象深かった。80歳を超えた岸恵子さんの話に始まって、100歳の現役サラリーマンの話まで、なかなか読ませる。その章の最後を高柳さんは「だって、人間は125歳まで生きられるんだから」と結んでいる。実際、彼女は若い。講演会などで「私は26歳でーす」というのはいささか”さばの読み過ぎ”だが、「皆さんも今日は27歳よー」って(時々年齢は変わるようだが)おっしゃる。参加者は嘘でも若く見立てられて、満更でもなさそうのは面白い。最近読んだ『103歳になってわかったこと』の著者の篠田桃紅さんが今度は『百歳の力』という本を出した。これは自叙伝だが、不思議な魅力がある。通常の人のすべて反対をやってる風に書かれてるところがミソだ。高柳さんも、きっと篠田さんぐらいまで生きそう。ン?でも彼女はその頃になっても、「私26歳よー」っていってるのかな。それは少々怖すぎる。(2015・7・26)

【この人と私は高校同期ですが、それを大っぴらにすると怒られます。歳がバレるじゃない、と。確かに、爺さんと一緒にされるのは嫌でしょうね。小学校から大学までの同期との対談集を、「新古今和歌集」をもじって『現代古希ン若衆』と銘打って出版しようとしたものの、高柳さんのクレイムで沙汰止みになってしまいました。これは受けると思ったのですが‥‥。そうこうしてるうちに喜寿に。未だにどうすれば陽の目を見せられるかと考える私も、未練がましいことです。(2022-5-8)】

 

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