歯の裏表事情を語るに至る道すじ(76)

(76)歯にまつわる言葉でお好きなものはどんなものがありますか?姫路に住む歯科医の河田克之さんに訊いてみた。「歯槽膿漏です」と答えが返ってきた。これには驚いた。一定年齢以上のひとにとっては嫌な言葉の代表格だろうし、若い人にはもはや知らない人が多いだろう。通常は「歯周病」と呼ばれているのだが、この歯科医はその呼び方自体が実態から目をそらすことに繋がっているといってあえて「歯槽膿漏」を大事にする。『さらば歯周病』という新書をはじめ幾つかの著作を持つ河田さんの『青山繁晴、反逆の名医と「日本の歯」を問う』との対談本は実に面白い。このたび河田さんと私が電子本で対談をしようということになり、改めて読み直した▼河田さんの主張は実に分かりやすい。一言でいえば、「歯磨きをしても歯を失う!」であり、歯を失わせる最大の元凶である「歯槽膿漏」は、歯石という異物を取り除く以外にないということに尽きる。「歯槽膿漏」は歯ぐきがいかれることがもたらす災いだと思っていた私は、彼の「歯を支えている骨が破壊される病気」との定義を聞いて驚いた。彼が「反逆の」とか「異端の」といった形容詞をつけられるゆえんはまさにここにある。さらに、彼は「歯槽骨を破壊しているのは、プラーク(歯垢)を含んだ骨の周りにある汚れー特に歯にこびりついたプラークが石灰化してしまった歯石だ」という▼これは一般的にいって、歯周病(歯槽膿漏とほぼ同義)をもたらす原因は歯周病菌であるとの歯学界の定説と真っ向からぶつかる。河田さんは、「歯周病菌を減らすことで歯周病は治せる。そのために歯磨きをせっせとやればいい」とする歯学界の常識に対して、歯周病菌は人間の口腔内に常在する菌であって、取り除こうと思っても取り除けるものではないし、排除する必要もないとしている。むしろ、そういう常在菌をはびこりやすくする口腔内の環境を変えるために、歯石を定期的にとることが大事だというのだ▼彼と姫路の淳心学院中等部、高等部で一緒に学び親友である青山繁晴氏は今をときめくジャーナリスト。いや、今やその域を超えて、青山千春博士と一緒に取り組むメタンハイドレード開発研究をめぐる(株)独立総合研究所の活動は世界の注目の的である。その青山氏が河田氏との対談の結論部分で、「厚生労働省、そして日本歯科医師連盟と日本歯科衛生士連盟ー彼らがガチガチでやってるなかで、ただ働きまでして、自分の本来信じる治療をしようとしているのは、これは特筆に値すると思います」と述べている▼私は、この本の存在を、カリスマ臨床心理士の異名を持つわが畏友志村勝之から聞いた。そして二人で対談電子書籍『この世は全て心理戦』を出版した。言ってみれば、青山・河田対談に激しい触発を受けたわけだ。そして今、今度は河田さんと私との間で、歯にまつわる対談電子書籍を出そうと準備を進めているわけだ。題して『歯、歯、歯の歯の裏表事情』。いやあ、まったくハハハのハだね、これは。(2015・1・12)

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