(166)カリスマ臨床心理士が明かす「聴く技術の要領」

志村勝之氏は私の見るところ、とてつもないカリスマ臨床心理士だ。心理学への造詣の深さから始まり、哲学、思想、宗教へのアプローチの用意周到さにはただただ圧倒される。この一年彼が展開してきた『こんな死に方をしてみたい!』なる長編のブログ(このほど完結)は出色の出来栄えで、実に面白く興味深い。私は彼のこれまでの生き方に改めて深い関心を持つと共に、これをどう読み解くかに、少々大袈裟だが今や身も心もとらわれている▼さて、その志村氏の私への忠告たるや、心底から唸らせられた。それは、ひとを前にしてその話を丁寧に聴こうとせず、一方的に話すのみで自己満足してきた私にとって、まさに驚天動地、天と地が逆さまになったほどのショックである。で、それは一枚の紙にまとめられ、私に手渡された。タイトルは「聴く技術(スキル)の要領」とある。中身は二つに分かれる。一つ目は「聴く技術(スキル)」の要領は、相手を「受け止める」ことにある。「受け入れる」こととは違う、というのだ。これは聴き方のスタイルとして重要なポイントに違いない▼➀相手の言動に「肯定的なまなざし」を向け続けること➁「こちらだって言いたい!」の気持ちを抑制し続けること➂相手の言葉に対して「否定・反論・支持・命令・強制・支配」をしないこと➃また、助言さえも控えること➄ひたすら、相手に「ちゃんと聞いてますよ!」を感じさせる「言葉返し」をすること➅相手に「もっともっと、あなたに話したい!と思わせること➆相手の「感情」を、どこまでも「相手にわかるよう」に「受け止めて」いくこと➇そして「ああ、この人は自分の話に興味・関心を持ってくれている!」と相手に思わせることーこの8項目を目にしてもう笑ってしまった。これまでの私の対話の仕方とは基本的には真反対だからだ▼勿論、私だってこれに近い対応をしてきていないことはない。でないと、友人、後輩、先輩たち、なべて私に縁あった人々に顔向けできない。だが、おおむねし損なってきたというほかない。相手の非を見つけると、そこにつけ込み、相手の弱さに気づくと、激励の言葉を挟み、相手の無知には自分の知り得ている知識を披瀝する……。そう、そこで気付いた。志村氏と私の50年余りの交流の実相を。彼と話したあとは、「今日は楽しかった」「また会いたい」との実に爽やかな気分に常に満たされていたのである。ということは、私の場合は……。ああ、嫌だ。恥ずかしい。(この項つづく=2016・8・20)

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